さても彼の糸
だが、先程も言ったように、せっかくなのだから楽しんでもよいだろうと思うのでござる、俺のてのひらはあの桜のはなびらをとどめておくことかなわぬが、そなたの髪の感触はこうして感ずることができ申す。顔を上げると、真田はにっと伊達に笑いかけた。その額にはなびらが降りかかる。目を細めてそれを見つめる。伊達はそれを摘みとってやりながら、どうももう呼び出しはかからねえみたいだなと低い声で囁いた。……ここででござるか。どうせ俺達しかいないんだからいいだろ。真田のぶあついてのひらがするりと伊達の腰を撫でる。伊達は次々と衣装を脱いでゆきながら、背後に炎炎と照っている陽の熱を感じた。今度呼び出しがかかったら、伊達殿と一緒に出陣したいものでござるなあとその下で真田が呟いている。