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メルヘンクエスト―1章

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 「アルヴィス、全然起きないね・・・。」

 「仕方ないよ。魔本は複雑な術だから、その分跳ね返しもキツイんだ。」

 「何時までもここにいたってしゃーねぇだろ?時間も限られてる事だしな。」

 「そうッスね・・・身体の事もっスけど、オイラ達にはウォーゲームだってある訳ッスから・・。」

 起きた時からある荷物を纏め、4人(+アルヴィス)は腰を上げた。

 「――せやから!こう、例えばな?俺等で人間ピラミッド作るとするやん?」

 何がどうなって術の構成の話の例えが人間ピラミッドになるのかは解らないが、ナナシは必至だ。

 地面に図を書いてギンタに説明している。

 「で、アルちゃんが中段にいるジャックのバランス崩したらどうなる?上にいるスノウちゃんもバランス崩してまうやろ?そしたら中段にいるドロシーちゃん、下段にいる俺・おっさん・君も倒れるやんか?ここまで理解出来るか?」

 「おう、何とか・・。」

 「で、バランス崩されて倒れた俺等痛い思いするやん、ほんでバランス崩した張本人のアルちゃんに、何すんねん!?って怒るやろ?・・・・つまり、そういう事や。」

 「・・?・・・・・・ああ!そういう事か。なんだよ~最初っからそう言ってくれれば良かったのにー。」

 「(・・デジャヴ)最初からそう言っとったで・・・・・。」

 「ナナシさん・・・お疲れ様。」

 まだ本の中に入ってから何もしていないのに疲れきっているナナシに、スノウは取り敢えずそう言った。

 「おおきに・・あ、進む事にしたんか?」

 「うん、アルヴィスまだ起きそうにないし・・・。」

 「・・・時間も限られとるから、な。」

 ふう、と一息吐いてナナシも腰を上げる。

 「そこに道もあるから、取りあえずあっちに行く事になったわよ。」

 「りょーかい。まずは情報を集めんと・・子供向けのオモチャ言う事は解り易い説明とか有るんやろ?」

 「その筈よ。」

 「ナナシードロシー姐さーん、準備出来たっすよー。」

 「おー、分ったわぁ・・・・処で、この羊も一緒なんか?」

 そう、長い長い説明で忘れ去られていたが、彼等の周りには沢山の羊が居たのだ。

 「・・・みたいね。なんかジャックの後ついて行ってるし。」

 かくして、ギンタ達7人と羊の群れは、これから始まる冒険への一歩を踏み出したのだった。



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