透きとおるシャボン色
その場で口を開く先輩に、それはここまで持ってこいっていうことなのかな?そう解釈した私は、そうっと先輩も口までアイスを持っていった。日向にいたせいで少し溶けかけのアイスがコーンから零れて、私の指にぺとりと貼りついた。
「あ、」
「垂れたのか?」
「はい、でも少しだけなんでだいじょ」
うぶです、の言葉は遥か彼方にすっ飛んでいった。アイスから離れた先輩の舌が私の指をざらりとなぞる。途中目があって、なんとも言えない挑戦的な笑みを向けられ、身体の中心から炎が突き抜けるような熱が全身から吹き抜けた。
「ん、うまい。ごちそうさま、美奈子」
「ど、う、いたしまして・・・」
先輩の機嫌は戻ったようなので、これでよしといったらよしなのだけれど。素直に『よし』と思えない自分が、なんだかすごく恥ずかしかった。
作品名:透きとおるシャボン色 作家名:ばる