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world of...-side red- #04

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※作中の外語は、ぐーぐる先生の自動翻訳で出しているので、間違っていることもあるかもしれません。平にご容赦を。



 
夜が更ける。

あらゆる生物の声が止み、辺りに木霊するのは木々のざわめき。
月は弓のようにか細く、闇に沈む世界を照らそうとはしなかった。
しかし、それは。

「もう目の前か……。案外警備は薄かったな」
「ハッ、所詮は成り上がりですからね。どうせナメてるんでしょうぜ」
「……誘ってるんじゃないスか?」

そびえ立つ古城を臨む男たちには、実に都合の良い隠れ蓑だった。
密かに交わされる会話に、闇に紛れようともしない敵意が宿っている。
時刻は午前二時。
風が止んだ瞬間、手筈通りに古城の包囲は成った。

「――よし」

二つの組織による同盟軍は、盟主の男が放った一発の銃声を合図に、古城への攻撃を開始した。



「ふぁ……。やっとですか、待ちくたびれましたよ」
「銃声で合図だなんて。どういう趣味してるんでしょう」

当の古城内、深部の情報部作戦室。
状況を把握しながらも、暢気に欠伸をするローデリヒと、彼にコーヒーを差し出すエリザベータの姿があった。
古城外の情報は、専ら監視カメラの類で収集しているわけだが、そこに一発、発砲音が響いたのだ。
わざわざ自らの存在を知らせるなんて、とエリザベータは呆れたように言った。

「その程度で怯むとでも思っているんでしょうかね。まったく、余程肝が据わった人物なのか、それとも――」

コーヒーを一口啜り、ローデリヒは眼前に広がる無数のモニターを眺めた。
組織の頭脳“マスター・ブレイン”は、普段と変わらぬ落ち着いた口調で呟いた。

「とんでもないお馬鹿さんでしょう」

静かに席を立ち上がり、傍にあったインカムを手に取ると、すぐさま装着する。
通信回線が開かれ、古城内に凜とした声が響いた。

「皆さん、あくまで“持ち場を離れないように”。……来ます」





world of...-side red-
#04「Operation interception-変異覚醒-」





一階のありとあらゆる扉や窓から、黒服の男らが無数に突入してきた。
正面から進撃した者たちが、まず目にしたのは――

「よォ、いらっしゃい。……ちぇっ、むさ苦しいなこのやろー」

エントランスの真ん中、テーブルの上にふてぶてしく腰掛けているロヴィーノと。

「トップバッターなんて久々や!緊張してまうな~」

彼の横で、言葉とは裏腹に屈託なく笑うアントーニョだった。
あまりの余裕に、男らは圧倒される。
――この悠長さは、虚勢ではない。

「……と、ちゃんとお相手せな坊ちゃんに叱られてまうな。ロヴィ、立ちィや」
「うぜ。やる気になったら立ってやるよ」
「あちゃー、こらあかんわ」

機嫌の悪いロヴィーノはてこでも動かない。
それをよく知っているアントーニョは、口では惜しそうにしながらも、早々に説得を諦めた。
改めて侵入者たちに向き直った時、先程までの柔和な雰囲気は消え失せていた。
手にした戦斧を担ぎ直した彼は、深緑の瞳を人工の光に煌めかせる。

「ほな、ウチの恋人がこんなんやさかい。肩慣らし程度には付きおうてくれへん?……手加減出来ひんのや」

言い終わるや否や、音もなく“炎”は飛び出した。
アントーニョの最初の一撃を、誰も防ぐことが出来なかった――

「Aquí vamos(行くでぇ)!!」


*


「あぅぅ~……。こんなに沢山いるのぉ?なのに私一人なのぉ?」

なんだこいつ、といった眼差しで、その場の全員が見つめていた。
半泣きになりながら、トライデントを抱き締める女性。
他でもないライナである。

「なんで裏口任されちゃったんだろう……。私、何かしたのかなぁ……」

あまりにもこの世界の住人らしくない彼女だが、しかし武器を手にこの場に立っている。
それが何よりの証拠であった。
侵入者たちは仕掛けるタイミングを計りかね、ライナの独り言だけが空間に木霊する。
無駄に過ぎゆく時間に痺れを切らしたのか、集団の前列の一人が拳銃を構えた。

「――やっ……!」

音に気が付き、ライナは小さく悲鳴を上げた――と思えば。
目を閉じているにも関わらず、彼女が手にした鍬は、拳銃を構えた男の心臓を一突きにしていた。
しかも、寸分の狂いもなく。

素早く数歩下がり、ライナは集団と距離をとる。
ほう、と溜め息をつき、血に濡れたそれを抱き締めた。

「あぁ怖かった……。撃たれるかと思ったよぅ……」

伏せられた睫毛で影になった瞳に、僅かに涙が滲んでいた。
一連の流れを見て、集団の中腹に居る男―冷静な眼差しからして、これが隊長格だろう―が呟いた。

「なるほどお前が……“悲哀の心臓殺し(ソロウ・ハートブレイカー)”……。その涙は偽りでは無いようだな……」

ぐすん、と嗚咽をもらしながら、ライナは男の言葉に答えた。

「だって、戦うのなんて、殺すのなんて嫌だもの……」
「ならば何故」
「殺しに来るから」

両の手で鍬を握り締め、彼女は喉を震わせる。
溜まった涙が、ひと筋零れた。

「ナタちゃんを、イヴァンちゃんを……みんなを、傷つけに来るからよ……!わ、私が戦わなくてどうするの……っ!」

そして切っ先は、心臓(もくひょう)に向かって既に構えられていた。
彼らとの平穏を守る為に。
せめて、苦しまずに逝けるように。
“優しい”彼女は一瞬で戦闘を決着させるのだ――


「Мені шкода(ごめんなさい)――」


*


ち、と舌打ちが鳴らされた。
耀が横を見れば、サディクは短くなった煙草を灰皿に押し付けていた。

其処は、部屋の中央をエレベーターが貫く、最上階。
本来ならこの城の主が居るべき場所だ。
しかし今、この場には四人しか居なかった。
新たな煙草に火をつけるサディク、猫と戯れるヘラクレスとイヴァン、そしてつまらなげにあぐらをかいて座る耀だった。

「とろくせぇな、奴さん」
「まったくある」
「こういう状況で一緒になンのは……だいぶ久し振りだな」
「是。あん時はヘラもおめーもガキだったあるねぇ」
「待て、おめぇさん俺より年下だろが」
「バレたある」

サディクが白い煙を吐き出すと、それは即座に霧散した。
――何故このような配置なのかは分からない。
今回は情報部にほぼ全権が任されているようだが、それにしても。
孤立したこの部屋に、四人とは何事か。
耀はそんなことに考えを巡らせていたが、やがてそれすら面倒になって、大きく伸びをした。

「この猫可愛いね~。毛がサラサラしてる」
「ん、そいつは新入り……」
「真っ白だねぇ……雪みたい」
「呪うなよ?」
「まっさかぁ」

少しくらい緊張感を持っても良いところを、ヘラクレスとイヴァンは相当ゆるい雰囲気を醸し出している。
イヴァンがヘラクレスの冗談にうふふ、と笑いを零した。

「……ん?」

窓の外に、何かが見えた。
作品名:world of...-side red- #04 作家名:三ノ宮 倖