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誤魔化しに綻んだ唇

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付き合って幾月。大分法則性のない臨也さんによる、渋々とした擦り寄りのテンポについていけるようになり、慣れることに慣れてきた。
対処する為にアンテナを構築、育成したことが最も効果を上げたと思う。所謂、勘や虫の知らせと称するものである。自己を中心に配置して、これから展開していく出来事の気配を感じ取る。具体的に何か起こるかまでは優れていないが、それが良いか悪いかの方向はわかる。分析しなければ、動ようがないのが改善点ではあるけれど。

だがしかし。それにしても、何だこの大人は。



偶然なんかじゃないんだよ。初めて溜息以外のリアクションを発した未来の、歓喜を懐古する声があった。

五感から提出される議題を処理する為に、長年開閉し続けてきた扉を開ける。決められた座席に、騒がしい過去や戸惑う現在、語らない未来が着席する。
過去は何時もの喧騒さを持って発言する。どうしても拝聴してしまうのは現在と未来で揺らぎが絶えない。決定権は頑として不動であるのが数少ない救い。
未来は沈黙を保つが、息継ぎの要領で溜息を吐いてくる。それみろの他人行儀。余さず自己のことであるのに気楽なものだ。反省を請け負っている絡みの不遜さを自覚していても、そんな感想を抱かずにはいられない。


予期しないことは、時として獰猛さを感想に受け取らせられる。抵抗の対処が更なる対処の誘導にそのままなった。足場を踏み固めようとするならば、底だと勘違いしていた己は奥の入り口に導かれた。
意識とは反対に快速で運ばれていく最中に非常口の在処や、あと幾ら焦燥感を堪能する時間を経れば着くのか、そして自分のアンテナに見切りをつけて粗大ごみに出すべきかを考える。この先侵入禁止区域の標識を複数目に映す。
そして、いらっしゃいの合図。始まりも終わりも唐突であった。


在りし日は言う。
予測出来た事象を知りながら選択可能な場面が幾つもあったのに、どうしても辿り着くんだね。
そんな仕方のないことを言われても。
在るだろう日は言わない。
只空気を混ぜている。
ねえ、どうしたら最善の道を出来たかな。



臨也さんは表情筋を完璧に操作出来るとやおら豪語した。ばかなひと。後始末を全く視野に入れてないんだから。まっこと、しょうがないひと。

口元を歪めて不機嫌を申告する。化学反応を連想させる、自然で勝手な喜悦の解釈が鼻に付く中身が残念で、記憶から削りたくなる衝動を起こす。
嫌悪を向けて貰えるだけいいと、近日中には自覚して下さい。でないと無関心域にメーターが振り切れてしまいます。折角好意も僅差で許容しているのに、ね。

最終通告を提出する案を、満場一致で可決した。猶予はないが、不意討ちでないだけよしとするようにとの旨を伝達しよう。ニヒルな笑みを添付して。
作品名:誤魔化しに綻んだ唇 作家名:じゃく