片目を隠す竹谷
言葉を交わす間、顔は見なかった。多分酷い顔をしているのだろうと思われたからだ。竹谷と会話をしていると、ぐるぐるとよからぬことを考えては息が詰まっていくのが最近の常だ。
ここからいなくなる、そのことばかりを考えている。
それが、なんなのかなんて―
包帯を巻く、自分の腕に彼の血液の染みを見つけた。ひとつふたつ。それを視界にわざと入れるようにしている自身を見つけて可笑しくなった。
「まっすぐさ、」
竹谷は、何時もの声で、何時もの口調で、まるで何事も無かったみたいに
「まっすぐ、へーすけのとこに来たんだ。」
瞬きをひとつして、その、太陽みたいな顔を見た。おそらくは、酷い表情で。そうすることしか、今は出来ない。
泣きたいのか、笑いたいのか、悲しいのか嬉しいのか楽しいのか困っているのか、それすらも、なにも、わからなくなってしまっているのだから。
おそらくは、きみのせいで、竹谷。