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戦争のお時間

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 ──折原臨也が罪歌の存在に気付いた。

 唐突にその情報は帝人らの耳に飛び込んできた。
 《罪歌》というのは彼らの友人である園原杏里が統率するグループだ。だがその形態は正臣や帝人の統率するカラーギャングとは違い、彼女自身が身に宿す《罪歌》という刀が対象を斬ることにより、その存在を支配することができる、というものだ。
 それは妖刀と呼ばれるもので、最初は帝人や正臣でさえも信じることができなかった。

 だが、それを真実だと断定できるほどの《情報》を集めた折原臨也の存在。

「…最近動きがなかったのは、このためか……」
「すいません、竜ヶ峰くん…私がしっかりしてなかったから…」
「そんなっ!園原さんのせいじゃないよ!」
「おいおい帝人ー俺のときと対応が全然違うじゃねぇの?」
「それは正臣の日頃の行いだろ」
「うっ」

 ハートブロークン!と大袈裟なリアクションを帝人は一瞥すると、いまだに顔をうつむけている杏里を励ますように両手をぶんぶんと横に動かした。

「気にしないで!ね!まだ実害にあったわけじゃないし…これ以上の被害を防ぐ方法は…」
「──んー遅いんじゃないかな、もう」
「っ!?」

 突然の背後からの声に3人は肩を震わせ、そのうちの2人は明らかに殺気を放っていた。そして攻撃手段のない帝人を庇うようにその男の前に立つ。背後に庇われた帝人はその男の顔をじっと観察する。手にはすぐに指示ができるように携帯はメール画面を開いている。
 まず目に入ったのは、短い学ランから覗く真っ赤なシャツ。彼を構成するものすべてが黒く、そして赤い。一般受けするほどの整った美貌に、爽やかな声。
 こう聞けば、一般的な美男子。だが、それを否定するほどの残虐な光が漆黒の髪の中に見え隠れする赤い瞳に宿っていた。

「何の用ですか、折原臨也さん。ここはあなたの自宅と来神高校の通学路じゃありませんよね」
「うん、そうだね。とりあえずなんで君が俺の自宅と名前を知ってるのかはスルーしてあげるよ。いやーそれにしても揃いもそろって…素晴らしいね」

 くく、と臨也は含むような笑いをこぼして、二人の影に隠れる…否、逃げる気配も隠れる様子もない竜ヶ峰帝人を見つめた。どうやら臨也の目的は正臣や杏里ではなく、帝人ただ一人らしい。それを読み取った正臣によって、さらに帝人は奥へと押される。
 その行動に臨也は楽しそうに笑顔を深めた。

「《黄巾賊》のリーダーの紀田正臣に《罪歌》のリーダーの園原杏里。それに加えて《ダラーズ》の創始者である竜ヶ峰帝人…ね。君たちだけで池袋は占拠できるんじゃないの?」
「それだけ分かっててこんなところに来るなんて、相当の策略家か…バカですね」
「ははっ厳しいお言葉だ」

 両手をびらん、と力なく広げた臨也の喉元に銀色の何かがす、と当てられた。
 ガキンッと響く金属音に誰一人動じず、少しだけおこった砂埃を帝人にいたっては手で払いのけている。

「あなたを見ていると罪歌が煩いんです。人間を愛している彼女でも、あなたは愛せないみたいで…」
「ふーん?まあ、バケモノに愛されるなんて真っ平御免だけどね」

 再び金属音。一閃した日本刀は臨也の手に持つ小さなナイフで止められている。その事実に杏里は目を細めた。罪歌が見切られて止められるなんて。掌から中途半端に出たままだった罪歌を腕を払う動作とともに、全貌を具現化させる。
 そしてまっすぐ切っ先を臨也へと向けた。

「あんたの望むものなんかここにはねぇぜ。さっさと帰ったほうがいいんじゃねぇの?」
「紀田正臣…君に俺の望むものなんかわかるとは思えないね。それを判断するのは俺であり、君じゃない」
「俺じゃなくても、帝人が分かれば、俺たちは自由に動ける」

 なあ、と話をふられた当事者である帝人は突然の問いかけにぼうっとしていた頭を一度振って「なに?」となんとも場違いな答えをはじき出した。

「なに…ってお前、いくら俺らがいてもちっとは集中しろよ」
「ご、ごめん…だって僕は話すことないし。ていうか追い払う役は僕じゃなくて正臣だろ。あ、園原さんは無茶しなくていいからね!」
「おまっ…この対応の差はなんだよ!?」

 正臣は後ろを向いたまま帝人と口論を始めてしまったため、杏里はオロオロと二人を交互に見て視線を彷徨わせる。
 その隙を狙っていたかのように、臨也は首元に押しつけられた罪歌から離れる。そのまま後退して、彼らの攻撃範囲から完全に外れた。

「「「あ」」」
「今日は君たちを見に来ただけなんだ。これ以上は止めとくよ」
「それは良い判断だと思います。折原さん。是非この機会に僕たちから手を引くことをお勧めしますよ」
「それは無理な相談だ。最近つまらない人間ばっかだったけど君たちは面白いからね」

 臨也は高い笑い声をあげながら塀にのぼる。まるで平均台をわたるかのように両手を広げた、一歩ずつ進んだ。そして何を思ったか、急にひらりと体を回転させて下から見上げる帝人らに振り向く。

「これから楽しくなりそうだ。よろしくね、3人とも」

「誰がするか!さっさと帰れ!」
「次があれば絶対に支配させてもらいますけど」
「忠告しますよ。僕らに刃向かうとどうなるか」

「ううん、三人多様。それでも止められない。俺は人間を愛しているからね!」
「全くもって意味が理解できませんが…いいですよ、忠告しましたから」

「かかってこい」

 
 池袋全体を巻き込む戦争はまだ始まりを告げたばかり。
作品名:戦争のお時間 作家名:センリ