friend or lover ?
そうではなく、分かっているでしょう?
幾分、目の鋭さを増して古泉が挑発するようにこちらを見る。
なんの挑発かさっぱり分からないので乗ろうにも乗れないし乗りたくないんだがな。
「………」
「涼宮さんがいらっしゃるではないですか、これ以上とない、ピッタリでお似合いのカップルとなりますよ」
結局ここに来るわけだ。
本気でうんざりだ。
「あのなぁ、あいつが俺を好きだとか俺があいつを好きだとかお前は言うけど、それは本当かどうかもお前には分からないだろう?俺は恋愛感情であいつを好きかなんて考えたことはないし、あいつも俺を好きだと思っているようには見えんがな」
ホント、なんでこんなこと別の人間に指摘されにゃならんのだ。
いつもきっぱり言ってやっているのにどうして本人の言葉を信じないのかコイツは。
「いずれ友情が恋に変わるのは十分にありえますがね」
コイツ…
「じゃあ、それなら恐れ多くもありがたくも朝比奈さんと恋に落ちる可能性だってあるわけだし、長門とそうなる事だってあるわけだ。なにも俺の周りにいるのがハルヒだけじゃないんだからな」
「涼宮さんがもっとも高い可能性を持っていますよ」
「古泉、お前ももちろんわずかな可能性を持っているんだからな」
「………はい?」
今まで古泉の周りで飛んでた『ニコニコニコニコ(以下エンドレス)』という擬音が唐突に『ニコニコニk』で止まった。
笑顔も先ほどまで変わってなかったのが、今は微妙に口元を引きつらせている。
「あの、最初の質問で僕は『男女の』と限定していましたが」
「恋をするのは男女間だけじゃないだろう」
「あの、まさか…」
「友情が恋に変わるのは十分にあるんだろう?」
精一杯意地の悪そうな笑みを浮かべて古泉を見れば、ヤツは視線を右に左にと彷徨わせながら「あ、いえ、あの…」なんて言葉にならない言葉をあげるだけとなっていた。
ああ、古泉を言い負かすことのなんと楽しいことか!!
しばらくこれで古泉から言ってくることもないだろうし、しばらくこれで古泉をからかえると思うと今後の学校生活がより潤った気がするな。
ま、実際ありえない話じゃないんだ。
作品名:friend or lover ? 作家名:由浦ヤコ