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玉音玉砕池袋

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「だから、『終戦』しようって言ってるの!」
「何企んでる?」
午後三時過ぎという中途半端な時間だからか、客もまばらな露西亜寿司店内。
カウンター席の端と端、極限まで相手と距離を開けるようにして腰掛けている2人のうち、真夏にもかかわらず黒いコートを纏っているほうの男がやれやれと首を振る。顔に薄ら笑いを貼り付けながら。
「企むなんて酷いなぁ。人が折角平和的な道を示してあげてるのに取り付くしまもないじゃん」
「取り付くしまどころかお前のだべりに付き合ってる暇もねぇ。つーか今更終戦って何だよ。明日からなかよくしましょうってか?あぁ?」
対する男の眉間には青筋が浮かび上がり、今にも握った拳で机を叩き割るかの形相だ。
「俺としてはそうできたらいいなって思ってるんだけどねぇ。今日だって夏休み中久々にシズちゃんとばったり遭ったと思ったらいきなり喧嘩おっ始まるしさぁ。サイモンにここ連れて来られるのもう五回目だよ?あんなふうに襟首持ち上げられてばっかだと俺の大事なコートがのびちゃうよ」
聞こえよがしに愚痴る臨也にサイモンは鼻歌を歌って聴こえないフリをする。
それを見て静雄は忍耐というものの持ちうる力に感心しつつ、自分もそれができたら、とモヤモヤを隠せない。
「あれは手前が信号待ちしてる俺の背中にナイフ投げつけて遊ぶからだろ!人の背中ダーツの的代わりにしてんじゃねぇよ!外れて子供に当たったりでもしたらどうすんだ」
「あ、いいね、それ。『ナイフを持つ手は、子供の顔の高さだった』って標語、今度JTに応募してみよう。ちなみに俺のナイフは百発百中だからご心配なく」
語尾に「☆」マークがチラついて殴りたくなったがとりあえず無視して話題を戻そうとする静雄。
――落ち着け、俺。こういう時は挑発に乗るな。
「・・・とまぁこんな感じで面見れば潰す事しか考えてなかったが・・・お前が二度と俺に性悪いちょっかいかけてこねえって言うんなら『終戦』とやらをしてやってもいいぜ」
静雄の言葉を聞いて怪訝そうな表情になる臨也。「マジで?」と顔全体で不信感を顕わにしている。
そんな彼に、とどめの一言が。
「俺もお前の顔なんざ見たくねぇし。会う度乱闘とか正直もう疲れたし。いっそせいせいする位だな」
立ち上がり、遠ざかってゆく背中に激しい違和感を感じながらも、
「ちょっとシズちゃん・・・冗談きついって」
臨也は引き止めることが、できなかった。
作品名:玉音玉砕池袋 作家名:キヲ