あなたが憶えているすべてを僕はしらない
[サイケデリック]
あれから何年が経っただろう。俺と平和島は相変わらず一緒に暮らしている。俺は相変わらず週に1度メンテナンスを受けに行くし、新羅とセルティも相変わらずラブラブだ。何も変わらない。ただ俺はしっている。平和島が夜、俺が寝たと思うと「臨也、起きてくれ。・・・愛してる」と囁いてはくちづけて泣いていることを。忘れられない思い出に囚われて俺を見ては傷ついていることを。
だけど俺はしらないふりで笑う。いつまでも「サイケデリック」でいられるように、ただただ無邪気に笑う。
ねえシズちゃん、君はしらないだろう? 俺はもう君のことも彼のことだって、すべて思い出している。
作品名:あなたが憶えているすべてを僕はしらない 作家名:坂下から