覚悟するということ
冬。付き合ってる。
宍戸→高二
長太郎→高一
「…さむ」
ぽつり。隣で呟く声がした。
其の人はあまりの寒さに起き出す気が失せたのか、それともまだ覚醒しきっていないのか、少し身動ぎをして、おれの胸の中にまた収まったようだ。
おれはと言えば、腕の中の心地よい温もりを手放せず、目すらも開けずに未だ微睡みの中に浸っている。現実と夢の間で動けない。
確かにとても寒い。
顕になっているのであろう自分の右肩と右頬が冷えているのが分かる。いつから外気に晒されていたのだろう。
布団を掛け直したいなあ、と思った。せめてテニス選手として、肩は温もりの中に入れておきたい。寒さで筋肉が強張ってしまうのは嫌だ。それにはとりあえず目を開けなくては、とくっつきそうな目を無理矢理こじ開ける。
目の前には見慣れた黒髪があった。そして、ぼんやりと宙を見る二つの黒い眼。途端に顔がほころんだ。
「おはようございます。」
「んー…。おはよ」
先程の身動ぎは後者だったようで、寝惚けて舌っ足らずな挨拶を返してくれた。朝から可愛いですね、ほんと。
宍戸さんの背中に回していた両手を使って、少しずり落ちていた掛け布団を耳まで引き上げる。これで肩も温まりそうだ。
「もう少し、寝ましょう?」
そう言いながら、少し冷えている彼の足に体温を分けるように自分の足を絡ませる。
「長太郎、あったけー…」
彼は小さくそう言うと、またすーすーと寝息を立て始めた。そんな可愛い先輩をもう一度抱き寄せて、おれも再び眠るべく瞳を閉じた。
END
宍戸→高二
長太郎→高一
「…さむ」
ぽつり。隣で呟く声がした。
其の人はあまりの寒さに起き出す気が失せたのか、それともまだ覚醒しきっていないのか、少し身動ぎをして、おれの胸の中にまた収まったようだ。
おれはと言えば、腕の中の心地よい温もりを手放せず、目すらも開けずに未だ微睡みの中に浸っている。現実と夢の間で動けない。
確かにとても寒い。
顕になっているのであろう自分の右肩と右頬が冷えているのが分かる。いつから外気に晒されていたのだろう。
布団を掛け直したいなあ、と思った。せめてテニス選手として、肩は温もりの中に入れておきたい。寒さで筋肉が強張ってしまうのは嫌だ。それにはとりあえず目を開けなくては、とくっつきそうな目を無理矢理こじ開ける。
目の前には見慣れた黒髪があった。そして、ぼんやりと宙を見る二つの黒い眼。途端に顔がほころんだ。
「おはようございます。」
「んー…。おはよ」
先程の身動ぎは後者だったようで、寝惚けて舌っ足らずな挨拶を返してくれた。朝から可愛いですね、ほんと。
宍戸さんの背中に回していた両手を使って、少しずり落ちていた掛け布団を耳まで引き上げる。これで肩も温まりそうだ。
「もう少し、寝ましょう?」
そう言いながら、少し冷えている彼の足に体温を分けるように自分の足を絡ませる。
「長太郎、あったけー…」
彼は小さくそう言うと、またすーすーと寝息を立て始めた。そんな可愛い先輩をもう一度抱き寄せて、おれも再び眠るべく瞳を閉じた。
END