【8/22SCC関西】Bella Ciao【サンプル】
「何やってんだバカ弟!」
背後から浴びせられる声。振り返ると、自分と良く似た姿かたちの、望むと望まざるとに関わらずイタリアを分かち合ってきた兄が立っている。今は表向きイタリアの全てを担っているロマーノだ。
「いいからそいつから離れろ、こっちに来い!」
ドイツなら、ロマーノくらい余裕で振り切ってイタリアを連れていける。ロマーノもそれがわかっているから、攻撃することも出来ず弟に呼びかけるしかない。
ただ、イタリア兄弟以上にドイツは動揺していた。イタリアを掴んで引いていた手はいつの間にか解かれている。ドイツが、プロイセンとの兄弟仲が良いことで有名なあのドイツが、目の前で兄弟を引き裂くようなことをその手で出来るわけがなかった。
イタリアは前のドイツと、後ろのロマーノを交互に見た。
兄ならいつでも会える。心の中で詫びつつ、ドイツの方へ一歩踏み出す。
兄ちゃんゴメン、俺がいない間うまくやっといて―――
「イタリア=ヴェネチアーノ!!」
しんとした廊下に、ロマーノの声が響いた。今まで聞いたことのない、同胞に痛切に訴える真剣なそれに、イタリアは即座に振り返る。
それは大国にむしり取られた身体を取り戻して、本当の意味でイタリアのものになった名前。
今この場で、この兄がその名を呼ぶ意味を思い出せ、「イタリア」! バラバラの身体を繋げ、兄弟で手を取り統一の冠を戴いたあの日を。
イタリア国家の総意は決した。戦いは終わり。ドイツとの同盟(おともだち)も終わり。むしろこれからそいつは、イタリアを侵すものとして銃口を向けるべき敵。今そのドイツについていくのは、イタリア自身による、イタリアへの裏切り。イタリアは他の誰を裏切っても、自分だけは裏切ってはならない!
兄・南イタリア―――イタリア=ロマーノのオリーブの瞳が、常にない鋭さをもってイタリア=ヴェネチアーノのヘーゼルの瞳にそう警告している。
背後から浴びせられる声。振り返ると、自分と良く似た姿かたちの、望むと望まざるとに関わらずイタリアを分かち合ってきた兄が立っている。今は表向きイタリアの全てを担っているロマーノだ。
「いいからそいつから離れろ、こっちに来い!」
ドイツなら、ロマーノくらい余裕で振り切ってイタリアを連れていける。ロマーノもそれがわかっているから、攻撃することも出来ず弟に呼びかけるしかない。
ただ、イタリア兄弟以上にドイツは動揺していた。イタリアを掴んで引いていた手はいつの間にか解かれている。ドイツが、プロイセンとの兄弟仲が良いことで有名なあのドイツが、目の前で兄弟を引き裂くようなことをその手で出来るわけがなかった。
イタリアは前のドイツと、後ろのロマーノを交互に見た。
兄ならいつでも会える。心の中で詫びつつ、ドイツの方へ一歩踏み出す。
兄ちゃんゴメン、俺がいない間うまくやっといて―――
「イタリア=ヴェネチアーノ!!」
しんとした廊下に、ロマーノの声が響いた。今まで聞いたことのない、同胞に痛切に訴える真剣なそれに、イタリアは即座に振り返る。
それは大国にむしり取られた身体を取り戻して、本当の意味でイタリアのものになった名前。
今この場で、この兄がその名を呼ぶ意味を思い出せ、「イタリア」! バラバラの身体を繋げ、兄弟で手を取り統一の冠を戴いたあの日を。
イタリア国家の総意は決した。戦いは終わり。ドイツとの同盟(おともだち)も終わり。むしろこれからそいつは、イタリアを侵すものとして銃口を向けるべき敵。今そのドイツについていくのは、イタリア自身による、イタリアへの裏切り。イタリアは他の誰を裏切っても、自分だけは裏切ってはならない!
兄・南イタリア―――イタリア=ロマーノのオリーブの瞳が、常にない鋭さをもってイタリア=ヴェネチアーノのヘーゼルの瞳にそう警告している。
作品名:【8/22SCC関西】Bella Ciao【サンプル】 作家名:御堂吟子