鬼の彷徨奇譚
銀時はしばらく腕組みをして頭を下に向けると、机の上にある紙袋が目に入った。
「おい、新八〜これなーに」
そう言って台所に紙袋を持って行った。新八が大きな釜に入った米を研ぐ手を止め銀時の方へ振り返ると、その手にある紙袋を見てああ、と言った。
「土方さんに借りたマフラーです」
その言葉に銀時が眉を寄せる。
「ああ?マフラー?」
「ええ、花田屋で返り血を拭うのにマフラーをかりました。今日土方さんがいないのを見計らって屯所の方に返そうと思って持って行ったんです」
一気にそう言うと水を勢いよく釜の中へ入れてかき回し、水を切った。
新八の言葉と態度に銀時がニヤニヤとする。
「それが新八くんの抜かないで沈める方法ですか」
銀時の言葉に新八の手が一瞬止まる。しかしすぐにまた米を研ぎ始めた。
「今度直接返すつもりです。だからそこに置いておいて下さい」
はっきりと言った新八の言葉に銀時が笑った。
「なんで、結局抜いてくんのか」
乱暴に米を研ぐ新八が大声で言った。
「もう!さっきから抜くとかいちいち言う事がエロオヤジ臭いんだよ!」
あまりの大声に銀時が目大きくした。
「新八、何抜くネ」
シャワーを浴びて甚平に身を包んだ神楽が頭を拭きながら台所へと顔を出した。神楽に向かって先程と同じくらいの大きな声で言った。
「風呂の水!!」
そう言って後は黙って水を釜に入れた
(終)
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