【腐向けAPH】ドキュメント【英日/人名使用】
腫れた顔で、地面に膝を付いたまま行っても説得力は無い。分かりきっていることであった。彼の涙は止まることを知らない。指で拭うと人間らしい温かみが指を伝って手首に流れる。手首まで流れてしまうまでにはその涙は冷え切ってしまう。畳に背中を預け、彼は私の上に馬乗りになってぼろぼろと宝石のように涙をこぼし、こぼして泣き続けている。どうしたら彼の涙をとめることが出来るのか、私はずっと、そればかりを考えているのです。
「お前のほうが、綺麗」
「綺麗じゃありません。あなたが、ずたずたにしてしまったでしょうに」
「赤い血も、それが皮膚の上に鬱血していく様も、肌も、全てすべて、なんでもどうしても、」
綺麗、ため息のように美しい曲線を描く唇から吐き出されたその「きれい」と言う吐息は、どうしても私の心に染みこむ事はなく、私の泣かないでと言う懇願は、彼の琴線には全く触れないのであった。
作品名:【腐向けAPH】ドキュメント【英日/人名使用】 作家名:kk