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もう一度君を抱きしめたいんだ

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 傍にいるということが触れるということだったごくごく幼かったころの記憶。成長していく過程で、いろいろなものがむしろあいまいに、分からなくなっていった。見られたいと願って、傍にいることをうるさがった。先回りする手を疎みすらした。それは何よりも、彼女が自分を見ていたことを意味していたのではないか?
 すこしだけ悔しくて、だから小さく笑った。
(今度はたぶん、間違えないから)
「もう一度あたしから抱きしめるよ」
 幼いころから纏わりつく疑問は未だに解決していないけれど、甘い感触を忘れないうちに、きっと。