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Days / after my life

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殺された日




「折原さん、あなたねえ、恨まれすぎたんですよ」


殺し屋はそう言って、人畜無害な子供のように微笑んだ。手のひらに持っているのは、細い針のようなもので、毒針か何かなのだろうか、刺された体が酷く痺れる。指先からすうっと冷えていくのを感じながら、ああ、命の炎が消えるという比喩はこういうことかと、どうでもいいことを考えた。先人の例えは秀逸だなと、笑う。


「笑ってるんですか」


コンクリートの床に倒れた俺を不思議そうに見下ろして、殺し屋は無造作に足を上げ、投げ出された俺の右手を踏みつけた。ダンッ、と鈍い音が響いて、大分感覚が消えていた手に明らかな痛みが走る。
「・・・っ」
声をあげる一歩手前で唇を噛み、ぼんやりとした頭を振って見上げた少年が、手にしていた針を・・・まあ針と言っても15センチほどはあろう、長いヤツだ・・・無造作に放った。
顔の横、スレスレに突き刺さったそれを、気にしていられるほどの意識は残っていない。俺はただ殺し屋を見上げてひたすらに、その瞳の奥を読み取ろうと見詰める。
人を殺すという感覚は、どんな感じなのだろう。
彼はその道のプロだから、既に慣れ親しんだことなのだろうか。調理実習でもするような感じなのか、それとも、実は良心の呵責のようなものがあったりするのだろうか。もしくは、人が死んでいく様子を見ることが楽しかったりするのだろうか。質問したいが、口が上手く開かない。残念だ、非常に残念だ。
俺はその、何の感情も映さない冷徹な瞳に、何を期待しているというのだろうね。
自分で自分が分からなくて、けれども、少年のすらりとしたその手に奪われるというのなら、命を差し出すのも悪くないと、そんな悪趣味なことを思った。



意識が暗闇に引きずられて行く。
俺は深遠の淵で笑う。
恨まれて殺されるというのならば、なんて折原臨也にふさわしい最後だろうと、そんなことを思う。


「まだ、笑えるんですね」


少年の声にはいっそ哀れみが混じっているようにも思えたけれど、それはとても耳に心地の良い声だった。



「うん、気に入りましたよ折原臨也さん」



作品名:Days / after my life 作家名:夏野