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「簡潔に言え」
「う~ん・・何ていうか俺も気が動転していてね」
「静雄、目が覚めたのか?」
「トムさん!?」

 新羅が言葉に詰まっていると、ドアの隙間からトムが顔を覗かせた。静雄が驚いて「どうしてここに!?」と目を白黒させているとトムが「闇医者の先生から連絡があったんだよ」と笑った。

「いやぁ、お前がぶっ倒れたって聞いた時は驚いたぜ。それで退院先から様子見がてら‥な」
「新羅‥」

 静雄は隣にいる新羅を睨み付けた。日頃迷惑を掛けているので、出来る事なら今回の件はトムには秘密にしておきたかった。しかし、トムが入院しているとセルティにも話してあったので、新羅はそれを知っていた筈だ。銃で撃たれて此処を訪れた時でさえ、誰にも連絡などしなかったのに。身体に異常は診られない今回に限って、何故入院していた仕事の上司を呼び付けたのか理解できなかった。

「静雄、落ち着け」
「‥すいません」
「いやぁ、やっぱり検査結果の告知は、保護者の方がいた方がいいと思ってね」
「殺すぞ」

 静雄が「俺は子供か」と低く唸る。するとトムは「静雄、殺すかどうか決めるのは検査結果を聞いてからな」と静雄に向かって微笑んだ。そんな二人の会話に新羅も「トムさんも容赦ないですね、さすが静雄の上司です」と笑顔で頷いた。

「まあ、確かに静雄をからかっているのは認めます」
「認めるのかよ」
「ですが、気が動転しているのも本当ですよ」

 トムと静雄が首を傾げる。すると新羅はとても残念そうに大きな溜め息を吐き出した。

「だって、池袋最強と謳われるあの『平和島静雄』が普通の人間になってしまったんですから」