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RE27こねた<01>

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その日の夕食は、綱吉一人だった。
 チョイスに向けての修行中、上手く行かないことがあって色々と試行錯誤をしているうちに、すっかり食事の時間に遅れてしまったのである。だいぶ遅い時間になってようやく食堂にやってきたときには、もう女の子たちも後片付けを済ませていて、綱吉の分はフードカバーを被せられていた。そこに添えられていたメモに従い、おかずを温めなおすと、綱吉は一人だけの夕食を始めた。
「一人だけの食事って久々かもな……」
 かつては母親の手料理を嫌がり、外で適当に済ませていた時期もあったのだ。けれど、そんな痛々しい反抗期も、突然現れた家庭教師に蹴り飛ばされてどこかへ行ってしまった。その後も瞬く間に増えていった居候と一緒に食卓を囲むようになり、今じゃすっかり、食事というのは大勢で食べるものだと思うようになっていたのである。
 だから、こうしてたまに一人だけの食事を経験すると、思わぬ寂しさに浸ってしまったりする。少し前までは一人ぼっちなんて当たり前だと思っていたのに。
 そんな風にぼんやりしていると、不意にテーブルの上に置いていたオレンジ色の匣がカタカタと揺れだした。つい先日、ようやく開匣に成功したばかりの、綱吉のボンゴレ匣だ。
「え、どうしたの?」
 なんだろうと声を掛けると、匣の中からクンクンと甘えるような声が聞こえ始める。開匣できるようになってからは、それが出して欲しいという催促であると理解していた。
「出たいの?」
 確認すると、匣の揺れが激しくなる。どうやら正解らしいが、いつもながらにかなり自己主張の強い匣だ。大空の匣は持ち主を反映するらしいけれど、自分はこんなに主張しているだろうかと綱吉はいつも疑問に思ってしまう。
「ちょっと待ってね」
 匣を手に取って、指輪に炎を灯す。修行でだいぶ気力を使っていたけれど、なんとか匣を開けるくらいは残っていたようだ。
作品名:RE27こねた<01> 作家名:てんこ