RE27こねた<01>
突然の問いに、綱吉は首を傾げた。
「う、うん。オレ、そういうのつけるの苦手で……」
「それで名無しのままか。薄情な主人だな」
「うう……」
確かにリボーンの言うとおりだ。言い返すこともできず、綱吉は項垂れる。
ふと、リボーンが二、三歩ほど綱吉に近づいた。
「しょうがねえな。なら、オレがつけてやるぞ」
「え、リボーンが?」
「そうだぞ」
楽しげな様子のリボーンに、綱吉は大丈夫だろうかと不安になる。
まさか変な名前をつける気では、などと疑っていると、リボーンの目がキランと光った。
「このオレが名付け親になってやると言ってるのに、なんだその失礼な目は」
そう言いつつ懐に手を突っ込もうとする仕草に、綱吉は慌てて首を横に振る。食事時に銃を撃たれるのは真っ平ゴメンだ。
「ご、ごめんっ。お、お願いします、リボーン先生!」
「ふむ」
すぐさま降伏した生徒を満足げに見て、リボーンは自分の顎に手を当てる。そして、綱吉の食事の皿へと視線を下ろした。
「そうだな」
リボーンは夕食のメニューにあったサラダから、あるものをひょいと一粒拾い上げると、人差し指で綱吉を呼び寄せた。綱吉は不思議そうにしながらも顔を寄せる。
「こいつの名前だぞ」
「んぐ」
綱吉の無防備に開いた口の中に、リボーンは拾い上げたものを放り込む。反射的にそれを噛み砕いた綱吉は、目をぱちぱちと瞬いた。
サラダのアクセントとして入れられていた、少し硬くて、ほのかに甘いもの。チョコレートの中に入っていても美味しい。
思わず、綱吉は呟いた。
「ナッツ?」
「ガオッ」
綱吉の声に仔ライオンが反応して、リボーンがニッと口の端を上げる。
「決まりだな」
「ガオッ」
そうして、仔ライオンの名前は決まったのだが、ナッツって、ツナを反対にしただけじゃん、という事実に綱吉が気がつくのは、名前が定着してしばらく後のことである。
ちなみに、ナッツがリボーンに甘えたがった理由については、未だに気がついていない。
ナッツが映し出したその気持ちは、未だ奥底で眠る。
作品名:RE27こねた<01> 作家名:てんこ