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RE27こねた<1.5>

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「泣き虫でごめんね。ぼく、いつもこうなんだ……」
「構わねえ。いつか鍛えてやるぞ」
 楽しそうに声は言い、反対にツナは何故かぞくりと震え上がりました。どうしてだかわからないのですが、とっても怖い予感がしたのです。だけど、怖い予感は嫌だと思うほどではありませんでした。
「また会えるんだね?」
「そうだぞ。いつか、迎えに来る。それまで、オレを待っていろ」
「うん、待つよ。ぼく、キミを待つよ」
 ツナはにっこりと笑いました。そして、あることに気がつきます。
「ねえ、キミの名前を教えて」
 そうです。せっかく迎えに来てくれるというのです。その日が来た時に困らないよう、ツナは声の主の名前を知りたいと思いました。
 声は、フッと笑いをこぼします。
「どうせ忘れちまうだろうがな。まあ、いい。教えてやるよ」
 甘くて奥深い声は、そっとツナに囁きました。

「いいか。オレの名前は――」

 そして目を覚ました時、ツナは何も覚えていませんでした。なんだかとても嬉しい夢を見た気がするのに、ちっとも思い出せないのです。ツナはとてもがっかりして、朝からほんのちょっと泣きたくなりました。
 だけど、これだけは確かなことがあるのです。
 相変わらずいじめられてばかりの毎日ですが、この毎日をずっと続けた先に、何かとても大切な約束が待っているような、そんな気がするのです。そう思うと、家に帰る道を、ほんのちょっと顔を上げて歩けるような気がしました。

 そう、きっと待っていれば、きっと……。

 それから数年後、そのときは訪れるのです。
 隣の村が恐ろしい吸血鬼に襲われたとき、少しだけ成長して、だけどいじめられっ子のままのツナに、運命の出会いがやってきます。

「ちょっといいですかな」

 不思議な格好をした、小さな謎の魔法使い。彼が、ツナに新しい風を吹き込むのです。
 怪物づかい、勇者、信じられないような言葉をたずさえて。

 魔法使いの名前を、リボじいと言いました。
作品名:RE27こねた<1.5> 作家名:てんこ