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ハイドロゲン
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novelistID. 3680
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レンリン詰め合わせ

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 「レンてば身長伸びたよね」

 屋上に続く階段の途中、後ろからちょこちょこと着いてくるリンの声に振り返った。何処となくひよこを連想させる。本当ならば、ていうかいつもはもっと早めのペースで上ってるけど矢張りそこは男女の差。随分とのんびり歩く位が彼女の隣を歩くには丁度良い、否歩調を合わせるって意味合いもあるけれどなるべくリンとの時間を過ごしたいからと言う邪な意図もあったりする。かく云うのも学校に居る時、俺らが一緒に居れる時間は結構限られているから。思い当たるに一緒に登校してきて下駄箱でほんの少し会話を交わす時間と、又教科書とかの貸し借りの遣り取りとか、ラッキーで廊下ですれ違った時とか、最後に一緒に下校する時ぐらいだ。流石の俺達でも幾ら仲良いからって学校でもずっと一緒って訳はない。そりゃあ友人とだって付き合っていかなきゃいけないんだから、現に俺だってそうなんだし、とやかく言うつもりはないけどさ。然し正直僅かに寂しい気がするのも事実。
 だから今日みたいに色々な偶然が重なって一緒に昼食を取れることになったりすると早朝から俺の機嫌は絶頂に良い訳で。そんな至福の時間への終了の合図とも言う、昼休みの終了を告げるチャイムが鳴り響いたのはつい先刻。屋上から教室へ向かう足取りがいやに重いのはやはり後ろ髪をひかれているからか、その反面満足から胸は軽かったけれど


 「…そう?」
 「うん。この頃話す時いっつも見上げてるんだよ、首疲れるってば」
 「ゴメン…だけど、ていうかリンが伸びてないだけだろ」
 「ひどおい!リンだって伸びたもんっ。でもほらほら、こんなに差あるんだよ」
 「マジだ。…結構ある」
 「前まで身長まで同じくらいだったのにね。男の子っていいなあ」


 心底そう言うリンが微笑ましくて小さくだけ笑みが零れたのは何かこそばゆいから秘密の話。然し丁度踊り場に差し掛かった為、平面に立っていると俺とリンの身長差は顕著に表れる。リンが言う通り前までは視点も同じ位だったのに、今じゃ俺がリンを見下ろす形になっているのは言わずもがな。……何とも言えない、満足感を覚えたのも、内緒にしておこう。一時期の俺はカイ兄とリンがじゃれてる(とか言うと又ムカつくけど)のを見る度に先ずその光景に嫉妬、そしてカイト兄がリンを撫でてたりするとその身長差にも嫉妬を感じていたものだった故。今ではガキとしか言いようがない馬鹿な話だけど、その時の俺は俺でリンが取られないように必死で一々苛々したりして四苦八苦しつつも頑張っていたのだ。逆に褒めてやりたい。昔の俺、数年後の俺はお前が羨んでいた身長をゲットしたぞ、だからもうちょっと頑張ってくれ。
 俺がさり気なく優越感に浸ってるのをリンも感じ取ったらしい。頬を膨らまして少々睨みつけてきた。うん。上目遣いで言われても、可愛らしいだけなんだけど、


 「もー双子なのに何でレンばっかおっきくなっちゃうかなー」
 「そりゃあそれこそ男女の差じゃん。逆にリンが俺より大きくても…、冗談になんねえ」
 「えーそうかなあ。一回ぐらいはレンを上から見下ろすのもしてみたいよ」
 「それは勘弁」


 何て真面目に思ってしまうのも、矢張り幼少期何かとレンくんは女の子みたいで可愛いわあと血縁関係は勿論会う人々に言われたという幼少期故のトラウマも関係しているのだろう。げっそりと面を顰めてみればいつの間にかリンが俺の背後に立っていた、疑問符を浮かべている俺を余所に背伸びしているけれど一向に俺に届く気配は無くて、白のリボンが上下に揺れているだけ

 「あーもう!やっぱり届かないー、こんな頑張ってるのに!」
 「お前なあ…今だから身長は男女の差だって話ししたろ。背伸びしても無理なもんはムリ」
 「むかつくー!」
 「へーへー」


 とか適当にあしらってれば更に機嫌を損ねたらしいリン。ついつい反応が楽しくて苛めてしまったけれど、流石にそろそろ止めとかないと帰り道に謝罪に何か奢れと言われかねない。さり気なく話題を変えようと口を開いた時、リンがふわりと金髪を揺らしながら軽い足取りで階段の一段目に着地した。たん、と軽快な音が聞こえる。視点が全く同じ位のこの光景が妙に懐かしい。そして疑問符を浮かべる俺を余所に爛漫な笑みを浮かべれば、そのままちゅ、と。すぐそこにあるリンの顔、唇の柔らかな感触、同じシャンプーを使ってるのに甘い、女の子の匂いに意識が一瞬飛びかかる。キスされたと認識するには更に時間を要して、固まっている俺を満足そうに軽く笑うと其の侭顔を近づけた至近距離の体勢で、
「奪っちゃったー」
 なんて小首を傾げて悪戯っぽく言うもんだから破壊力は抜群です。俺が反応をする前にまたたん、と平面に降りると軽い足取りで階段を下って行く。―ちょ、卑怯だって、それは。一気に脱力してしゃがみ込めば、頬が火照っているのが感じれた。次の授業、絶対集中出来ないのは確実。…リンのせいだ。あんなことするから。(奪っちゃった、って…なんだよ)不意打ち。…かわいすぎ、だろ。ああもう。授業開始のチャイムが鳴る。でも俺が立ち上がるにはもうちょっとだけ時間が要りそうです。