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ハイドロゲン
ハイドロゲン
novelistID. 3680
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レンリン詰め合わせ

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 何時もぽっかり胸に空いていた。



 好きな人が出来た。全くその穴は埋まらなかった。嬉しいことがあった。虚無感があった。親戚が結婚した。可愛いねって言われた。嬉しかった。でも。穴は其の儘だった。穴。マンホール。判らない。この年頃だったら皆そういう覚束ない感覚を持っているのだろうか。だけれど私の其れは余りにも鮮明な感覚過ぎて(今日も、埋まらないなあ)その穴はあたしを引きずり込むわけでもなく、大きさを増すワケでもなく小さくなる訳でもなくそこに。あった。

 好きな人が出来た。

 人生で何度目かの経験。唯今迄と違うのはこの人に永久に寄り添うのだろうという確信だった。私が今迄してきたことはこの人に愛される為で、幸せだった。すごく、幸せだったし私は満足していたこの至福に。だけれど穴は変わらなかった。ぽっかり空いた儘だった。そして、その穴が私と彼が共有する時間にさえ介入して来るのは時間の問題だった。(いつになったら会えるの?)何も思考していなくとも何時もそのフレーズが脳裏にぼんやりと波打った。同時に私は凄く焦燥した。何故かはは判らない。脳裏に過る言葉は私のものじゃないのだけは確実で、ただ(私以外のものじゃないことも確実だ)焦燥した。いつになっても会えないんじゃないかと、其の根拠も具体例も無いフレーズを聞いて焦燥したのだった。やがて彼と共有する時間外にも否24時間当時の私はいつになったら会えるのかと生き急いでる様な、果てなく取留めのない焦燥ばかりに捉われた。

 ジグゾーパズルが完成したって言うのは、こういう感覚なのだろうか。

 そういう訳でもなかったように思う。そんなのありきたりが過ぎる。ただ、私が生まれながらに今に至る迄ぽっかりと空いてきた穴が瞬く隙間も無く埋められていく感覚を、(あなたも一緒だったの?レン)涙は溢れなかった。でも心の中は溢れんばかりの涙が私を覆っていた。やっと会えたのね。やっと、やっと、やっと。至福だった。彼が私を愛してくれるのも至福だったけれど、何物にも変え難い失っては絶対にいけない至福。
その一切れのしあわせを私は一生忘れない。