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それらすべて、かけがえのない日々(2)

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――――数十分後、新羅のマンション。

『新羅、私にウェディングドレスは似合うと思うか?』
「ええっ、どうしたのセルティ!? もしかして僕と結婚したいと、ずっとそう思っていてくれたのかい!? 僕は純白のドレスに身を包んだ君はそれはもう素敵だと思うよ! まあセルティなら何を着たって似合いすぎて僕を困らせてくれるんだけどね。そうだな、鉄板のレースをふんだんにあしらったドレスも似合うだろうけど、君はスタイルが素晴らしいからマーメイドラインのドレスも可愛いだろうね。それともその脚線美を余すところ無くさらけ出すミニのドレスなんてどうだい? ああ、でもそれを僕以外の奴に見せるのはちょっとばかりでなく嫌だなあ。そうだ! 披露宴をするならお色直しも必要だよね! 純白のドレスの後に漆黒のドレスを身に纏う君もきっと美しいんだろうね…! それでセルティ、式はいつ挙げる? 何月がいいかな。やっぱりここはジューンブライドで6月? そうするとまだまだ先のことになってしまうなあ。教会はどこがいいかな、海辺? 海外? 僕は君がいてくれればそれだけで最高潮に幸せだけどね!」

 たった一言、たったの一言にいつも以上の反応を見せる新羅を、セルティは半ば呆然としながら見つめていた。新羅の脳内では既に様々なドレスに身を包んだセルティが行きつ戻りつしているらしい。先程から数秒ごとに恍惚とした表情を見せる男の姿に、話題を提供してしまったセルティも戸惑いを隠せない。
 ――まあ、悪い気はしないけれど、でも……。

『新羅』
「ああ、緋色のドレスもいいね…! ドレスの色に合わせたピンヒールも似合いそう!」
『新羅!』
「え? ああ、ごめんよセルティ。君の姿を思い浮かべるだけで僕は天にも昇る心地だよ…!」
『……まったく、今は目の前に本物がいるだろう』
「それって、それって……もしかしてセルティ、僕の脳内にいる君にヤキモチかい? 心配しなくても大丈夫さ! 僕の目には君しか映っていないんだからね…!」
『調子に…乗るな!』

 勢いよく抱きつこうとした新羅を黒い影で絡め取りながら、ようやく自分を向いた相手に少々の安堵を覚えるセルティがいた。