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　これをどう使おうか悩んでいたけれど、本当はその一雫さえも自分が呑み干していて中身は空っぽ。相手を巻き込むくらいなら無くしてしまおうと呑み干した。けれど気が付いてみれば、無くしたはずのその「毒」は相手の掌に移っていて、自分にはもう手出しはできない。彼自身が、捨てるか呑み込んでしまうか。
　息を潜めて待っている。
　どうせなら、呑み干してしまえばいい。そしてこの手に落ちて来ればいいと、知らぬ顔で願っている。
　「恋」という名の甘美な「毒」に酔わせてあげるから。