さがしびと
曹丕が、口調や態度はどうであれ自分のことをそれなりには好いているのだろうと、いう思い。
「勝手にしろ。お前が何をどう思おうがお前の勝手だ」
きっぱり言い放つと、曹丕は踵を返して歩き出す。
ひらりと風になびく外套が、やたらと目に付いた。
「……いつまでもお側におりますよ、曹丕殿。そう、いつまでも」
先へと行く曹丕の背中を見つめながら、呟く。そんな司馬懿はとても無表情で、そして妙に笑っているようにも見えた。
曹丕が向かう場所、司馬懿が向かう場所。きっとその先は同じであろうと、思う瞬間だった。