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砂糖たっぷり大トロ二人前

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 親しき仲にも礼儀ありだぞ、と、正臣は慌てて親友を止めようとした。しかし、伺うように静雄の表情を見やるとそれは正臣が予想していたもとは大いに違っていた。
 先程までの険しい表情は一見するとそのままだが、よくよく見ればその頬は紅潮し、噛みしめる唇は何かを耐えているようだ。
 呆然と見つめる正臣の視線に気付いたのか、静雄はハッと目を見開き、そして慌てて顔を逸らした。
――もしかして、照れてる……?
 池袋最強の男が、この目の前に座っている何処にでも居るような平凡な男子高校生の一言に。しかも「可愛い」という言葉に。
 開いた口が塞がらない正臣の耳元で帝人はこっそりと言った。

「ね? 可愛いでしょ?」

 遠慮がちに隣を歩いていた少年の自信ありげな、惚気を聞いて正臣は天を仰いだ。
 そして。

「――ごちそうさま」

 寿司を食べる前から、正臣の胸はいっぱいになってしまった。


 完