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薄紫の空の彼方に貴方を見ました

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そうして、ずっと私が守っていきたいものが人がたくさんあるのだ。

「バクフーン、大丈夫だよ。」

守りたい何もかもを思い浮かべたら、元気が湧いてきた。
私のパートナーに笑いかけて、体を撫でてあげたら、甘えた声で抱きついてきてくれる。
そうだ、私は、この子たちと一緒に、強くなって、たくさんの人たちを守れるようになりたいんだ。

再び決心すれば、後は容易だった。
もう、照らしてくる夕日も、それにまとわりつく薄紫の雲も見る必要はなかった。
夕闇が迫っていた、今日泊まる予定の町に着かなければ。

そうして、私はまた日常に戻っていく。



あぁ、けれども。
どうしても思ってしまうのだ。
思い出になんかしないでください、今あなたの前にいる私を見てください。
そうして、私だけを照らしてくれたら。
守りたいと言ってばかりいる私を、守ってくれる存在になってくれたら。

一体、どれほど幸せなんだろう、って。



彼女は知らないままだった。
ディグダの穴に取り残された彼が、呟いた言葉も、その時の彼の顔も。

「まいったなあ……。」

ぽつりとこぼれた言葉は、彼以外の誰の耳にも届くことなく、洞窟の壁面も拒絶するように反響して、地面に落ちた。

走り去っていった少女が、残した言葉。
思い出にしないで、とは、どういう意味だったのか。
もしかして彼女を傷つけてしまったのだろうか、暗くて表情はよく見えなかったが、声は震えていなかっただろうか。
気になるけれども、今はもういない少女に、聞くことはできない。
次に会ったときに何事もなく振る舞ってくれたら、きっと彼は安心するのだろう。

けれども、思ってしまうことはあるのだ。
「思い出にしたいわけじゃ、ないんだよなあ。」
そう呟いてから、はて、と首をかしげる。
それはつまり、どういうことだろうか。
いや、確かに自分は彼女をただの思い出にしたいわけじゃない。
今こうして写真を撮れることは嬉しいし、それは彼女がここにいてくれたからであるのだから。
現在、存在してくれることがとてもうれしいのだ。
そう、例えば、写真を撮るために近づいた時にふわりと香った彼女の甘いかおりと、やわらかそうなぬくもりは、
今こうして一緒にいてくれるから感じることができて、うれしいのだから……。

「……って俺は一体何を……。」