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命知らず、向こう見ず

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突如として喉に張り付くように思い出したのは、近頃は控えていたはずの酒の味。それは、かつて共に戦場を駆けた後に祝杯としてあげたものによく似ていた。
いくつもの戦場を思い出した。あの頃にはいたはずのムムカは、今一体どうしているのだろうか。簡単に死ぬような男でもないだろうが、とダンバンは思う。
きっとどこかで、まだモナドを狙っているんじゃないか、などという思いもよぎる。
しかしいくら考えてもどうしようもないことだ、と頭を振った。
「……ディクソンが戻ってきたら、久々に一杯やるとするかな」
美味い酒でも用意しといてやろう。それで少しくらい武器の値段を負けてくれることを祈るが、ディクソンはそういう奴でもないな、とダンバンは笑った。

掲げた剣が映すのは、戦場を思い出したかつての戦さ人の瞳だった。
鈍い輝きと共に、先を見据える意志の輝きがあった。

作品名:命知らず、向こう見ず 作家名:梗乃