Hiwaily*2 番外編【関東の場合】
前略 勤め先が決まりました
皆いい人そうなので、本当に良かったと思っています。
「タヌー、お腹すいた!」
「めぇ~」
「はいはい、ゼリー作ってあるから、そっちに行きな」
働き始めて早三日。
直人は店に出す料理を作る間、たぬきと羊(名前は知らない)に小さく作ったお菓子をあげることが日課となっていた。
……動物に菓子をあげることに突っ込んではいけない。
そして羊は太ったらどうするんだ?という質問もしてはいけない。
「なおとー。俺もお腹すいた―」
いつの間にか厨房に来ていたのか、amuが直人に抱きついた。
「わぁ!!なにするんですか!」
「コーラ飲みに来たんだけど、ナマモノだけじゃなくて俺にも何か頂戴」
「あの、amuさん。コーラはコールの時以外は禁止になってましたよね?」
「うーむ、直人がいるとコーラが飲めない」
amuの言葉に、直人はふと思った。
そういえば、直人が厨房に立ってから毎日毎日amuや羊やタヌキがやってくる。
時折そ~まやりせは、他のボーイたちもやってくるのだが、全員冷蔵庫に手をつけようとしては直人に止められる。
「(……俺、もしかして冷蔵庫の番人に雇われたのか)」
「ところでさ、何作ってるの?」
直人はホール状の生地にクリームを詰め込んでいる。
「ああ。オーナーに頼まれて。店に出すようのタルトを作ってるんです」
「マジで!!」
目をキラキラさせて、amuはタルトをみつめている。
完成していなければいまにも食べだしそうな表情だ。
直人はしばらく手を動かさして、一息ついたところでamuの方を振り向いた。
「出来上がったら、食べてみますか?」
出来上がったタルトをamuは美味しそうにほおばっている。
たぬきと羊にもかけらを渡し、直人も一口食べた。
「カスタードまだゆるいかな」
「え?すげぇ、おいしいよ?」
「ありがとうございます。けど、人前に出すにはもう少し工夫しないと」
「ふぅん」
ぺろりと唇を舐め、amuはごちそうさま。と手を合わせる。
「美味しかったよ」
「ありがとうございます」
「あ」
直人が目を見開いた瞬間。amuの指が頬をかすめた。
「クリームついてた。ごちそうさま!!」
そのまま彼は扉を開けて出ていく。
直人はぽかんとみつめたまま、ぼそりと呟いた。
「子供じゃないんだけどな」
直人、amuに餌付けしていくの巻。
作品名:Hiwaily*2 番外編【関東の場合】 作家名:響嵐