チョコよりも甘い
今日は二月十四日、バレンタインだ。男も女も周りはみなどこかそわそわし、浮足立つ一日だ。お祭りごとが大好きな生徒が多いこの大川学園も、もちろん例外ではなかった。
だが、同性である斉藤タカ丸と付き合っている俺にはあまり関係ない事だった。少なくとも日本では、チョコレートは女の子が男にあげるのが一般的だ。男同士のカップルである俺たちにとって、バレンタインというイベントはさして重要なものではなかった。
「兵助…お前、少しは机の中のチョコレートに反応しろよ…。」
クラスメイトの勘右衛門が呆れつつそう言う。
「チョコ…?あ、ホントだ。いつの間に…。」
さっき隣のクラスの八左衛門に辞書を貸しに行っている間に入れられたのだろうか?俺の机の中には綺麗にラッピングされた、チョコレートと思われるものがいくつか入っていた。
恋人であるタカ丸に言われて気づいたのだが、俺はそれなりにもてる方らしい。だが、俺に思いを寄せている子たちがみな内気だからなのか、俺とタカ丸との(一応)秘密の関係に気づいているからなのか、真正面から積極的なアタックをしてくる子はいなかった。
まぁ、はっきりと「お断り」の言葉を告げる必要がないのはありがたい事なのだけど。いくら男の恋人がいるからといっても、自分に好意を寄せてくれている女の子に対して、その気持ちを受け入れられないと告げるのは、やはり心苦しい。
そういう意味ではタカ丸の方は苦労しているのだろう。あいつはセンスの良さや物腰の柔らかさも相まって、学園でもトップクラスのモテ男だ。実際、玉砕覚悟の女の子たちからアプローチされている姿をたびたびみかけている。
「…あ、兵助、またタカ丸さんのこと考えてんだろ?」
にやにやと嫌な笑みを浮かべた勘右衛門が言ってきた。
「!?なんでわかっ…」
「当たりかよ!全く、恥ずかしい奴…。」
どうやら勘右衛門はからかっていただけのようだ。恥ずかしさで頬が熱くなるのを感じる。
「っていうか兵助さ、タカ丸さんからチョコもらいたいとか思わないの?」
まだ恥ずかしさを打ち消せない俺をよそに、勘右衛門は聞いてくる。
「俺たち男同士だぞ?バレンタインとかあんまり関係ないな。それに…あ。」
「「それに」?」
だが、同性である斉藤タカ丸と付き合っている俺にはあまり関係ない事だった。少なくとも日本では、チョコレートは女の子が男にあげるのが一般的だ。男同士のカップルである俺たちにとって、バレンタインというイベントはさして重要なものではなかった。
「兵助…お前、少しは机の中のチョコレートに反応しろよ…。」
クラスメイトの勘右衛門が呆れつつそう言う。
「チョコ…?あ、ホントだ。いつの間に…。」
さっき隣のクラスの八左衛門に辞書を貸しに行っている間に入れられたのだろうか?俺の机の中には綺麗にラッピングされた、チョコレートと思われるものがいくつか入っていた。
恋人であるタカ丸に言われて気づいたのだが、俺はそれなりにもてる方らしい。だが、俺に思いを寄せている子たちがみな内気だからなのか、俺とタカ丸との(一応)秘密の関係に気づいているからなのか、真正面から積極的なアタックをしてくる子はいなかった。
まぁ、はっきりと「お断り」の言葉を告げる必要がないのはありがたい事なのだけど。いくら男の恋人がいるからといっても、自分に好意を寄せてくれている女の子に対して、その気持ちを受け入れられないと告げるのは、やはり心苦しい。
そういう意味ではタカ丸の方は苦労しているのだろう。あいつはセンスの良さや物腰の柔らかさも相まって、学園でもトップクラスのモテ男だ。実際、玉砕覚悟の女の子たちからアプローチされている姿をたびたびみかけている。
「…あ、兵助、またタカ丸さんのこと考えてんだろ?」
にやにやと嫌な笑みを浮かべた勘右衛門が言ってきた。
「!?なんでわかっ…」
「当たりかよ!全く、恥ずかしい奴…。」
どうやら勘右衛門はからかっていただけのようだ。恥ずかしさで頬が熱くなるのを感じる。
「っていうか兵助さ、タカ丸さんからチョコもらいたいとか思わないの?」
まだ恥ずかしさを打ち消せない俺をよそに、勘右衛門は聞いてくる。
「俺たち男同士だぞ?バレンタインとかあんまり関係ないな。それに…あ。」
「「それに」?」