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クリスマス米英1

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おかげでアメリカと仲の良い姿を見ても、落ち込みこそすれ妬くことも出来なかった。
「…寒いな」
図書室は暖房が効いているはずなのだが、いかんせんだだっぴろい空間のため、暖房がついていようがいまいが寒かった。
おかげで夏は良い涼み場所になるのだが、冬は逆で寒くてしょうがない場所のひとつだ。
だからこそ学園内でこの時期にこの場所にいる生徒は殆どおらず、見渡しても図書委員すら席を外してる始末だった。
「あーくそ、さみぃ…」
息こそ白くはないが、それでもペンを持つ手が冷えて感覚が鈍くなる程度には寒い。
折角の暖かい部屋にいたのに一体何をやっているのかと言われそうだが、それでも耐えられなかったのだからしょうがない。
去年のクリスマスパーティは初の生徒会長としての役目のせいで多忙を極め、気付いたらクリスマスパーティなど終わっていたから、こんな風に考えたりすることはなかった。
何も期待しなかったせいだろうか。どうやら特定の相手は誘わず先頭を切って騒いで皆の中心になっていたアメリカが、疲れ果てた様子の俺に珍しくもコーヒーなんかを入れてくれて、寒いからと寮まで手を繋いで帰ったのを覚えてる。
手を繋いだのはアメリカが手袋を忘れて寒かったというどうしようもない理由と偶然で、決して俺が期待するような理由じゃない。
けれど無欲には神様もご褒美をくれたのか、俺にとっては嬉しい出来事で、最高のクリスマスだった。
作品名:クリスマス米英1 作家名:叶 結月