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クリスマス米英1

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無駄な期待をして現実を知って落ち込むなら、当日に落ち込みたい。
クリスマスまでの時間を数えて現実に果てしなく悲しくなるなんて、そんなこと俺はしたくない。
「俺は――」
アメリカの答えを最後まで聞いていたくなくて席を立つ。
唐突に立ちあがった俺に、部屋中の視線……フランスとアメリカの視線が、俺に集中した。
「イギリス?」
フランスの不思議そうな声を無視して、書類の束とペンケースを持ってスタスタと部屋の入り口まで歩く。
「おい、どこ行くんだよ」
「お前らがうるせーから図書室いく」
「え、おい、お前それ生徒会の…」
「こんな試験も終わった時期に図書室にいるやつなんていねーよ」
止めるフランスの声をドアを閉めることで無視をする。
廊下に出た途端、冷え込んだ空気に体がぶるりと震えて、暖かかった体が芯から冷やされる。
「寒…」
見ると窓の外はちらほら雪がちらついていて、どんよりと曇った灰色の空が見えた。
きっとこの様子じゃ一晩中降るのだろう。
積もる前に早めに寮に帰った方が良さそうだ。
――そんなことを思いながら、書類とペンケースを片手に足早に図書室へと向かった。


フランスの手前ああいったものの図書室に来れば日本あたりがいそうな気がしていたのだが、どうやら今日は空振りのようだった。
日本はこの学園に編入してきた頃、連日のように図書室に通っていた時期がある。
今でこそ通う日数は減っているものの、それでもここに来ると日本に会えるような気がしていた。
物静かで努力家の彼は、編入後学園の勉強のスピードに追い付くべく、連日図書室に通っては遅くまで勉強をしていた姿が印象的だった。
編入したてだったこともあるのだろう。
あまりよろしくない噂の多い生徒会長の俺をみかけても、変な先入観を持たずに接してくれた。
最初は背の届かない棚にある本を取ろうと必死な後ろ姿を見て、見かねて手を貸したのだが、それをきっかけに日本とは図書室でよく話すようになった。
アメリカと同学年で同じクラスの彼は、暫く休学していたとかで、実は俺より年上らしい。
そのせいか落ち着いた物腰は俺の素直でない性格を前にしても喧嘩になることもなく、結果よい人間関係を築けている。
そんな風に日本の人物像を知っていて、どんなに努力する奴か、良い奴かを知っている。
作品名:クリスマス米英1 作家名:叶 結月