鳥の歌
五、
万事屋の応接間兼居間のソファに銀時がだらしなく座っていると、玄関の呼び鈴が鳴った。
「うお〜い」
気怠げな返事をし、玄関に向かう。
ガラガラッと戸を引くと、外に桂が苦虫をかみつぶしたような表情で立っていた。
そして、銀時に問う。
「一体、なんの用だ」
開口一番に、そう聞くのも無理はない。桂は理由を告げられずに電話で呼びだされたのだ。
「まァ、とりあえず、なかに入れば?」
しかし、銀時にはここで質問に答える気はなかった。
それを感じ取ったのか、桂は万事屋に足を踏み入れる。
「……あのふたりは?」
廊下を歩きながら、桂がたずねた。
「今夜は志村家で鍋パーティーだとよ」
「ならば、どうしておまえはそれに参加しない?」
「めんどくせーからだ」
適当に返事をすると、桂は眉をひそめた。明らかに疑っている。嘘だからしかたないが。
応接間兼居間に到着する。
桂はソファに腰をおろした。
それを待って、銀時はそのソファの近くに行き、桂の隣に座る。
「なんだ」
低い声で桂は問う。
「煉獄関って知ってるか?」
「いや」
否定する桂の顔から不機嫌さが消えている。
「なんだそれは」
代わりに浮かんでいるのは、隠しきれない好奇心。
コイツ情報集めんの好きなんだよなァ、と思う。
「裏世界で賭け試合する場所だ」