鳥の歌
「賭け試合? なんの試合だ?」
「殺し合い、だ」
そう告げると、桂の表情は真剣なものになった。
それから、煉獄関について詳しく説明し、自分たちがそれと関わった事件を話した。
終始、桂は生真面目な顔つきで話を聞いていた。
そして。
「……真選組の者はろくな仕事を持ってこぬようだが、その鬼道丸とかいう男が育てていた子供たちの引き取り手を捜すつもりでいることは評価してやろう」
銀時の話が終わると、そんな感想を口にした。
「評価してやろうって、おめー、エラソーだよな」
「それで、貴様はいつ切腹するんだ?」
「そりゃ真選組に火の粉が降りかかったときのことだろ。つーか、アイツらに火の粉が降りかかろうが知ったことじゃねーし、腹切るつもりなんざ全然ねェよ」
「そうか、それは残念だ。そのときは見学するつもりだったからな」
「趣味悪ィな、おまえ」
「……それで、昔のことを思い出したのか?」
いつものような軽いやりとりをしていて、突然、桂はそんなことを聞く。
「ああ、ちょっとな」
あっさりと銀時は肯定する。
松陽に拾われて一緒に暮らしていた自分と、鬼道丸こと道信に拾われて一緒に暮らしていた子供たちを、つい重ねて見てしまっていた。
それに、かつて白夜叉という二つ名を持っていた自分と、鬼道丸との二つ名を持つ道信とも、重ねて見てしまっていた。
だから、道信が殺されてしまって、仇は討ったとはいえ、気が滅入っていた。もちろん、それは新八や神楽には気づかれないようにしたが。
「俺を呼んだのは、愚痴をこぼしたかったからか」
「いや、それだけじゃねェ」
銀時は手をあげ、近くにある桂の髪をつかむ。
髪の下から現れた首筋に顔を近づける。
「よせ」
「なァ、おまえ、今、特定の相手がいるのか」
わざと吐息が首筋にかかるように言う。
すると。
「いる」
桂は短くはっきりと返事した。