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うまいぼうを食べるアル

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机の上にぽいと投げ出されたものを見て、弟は顔をしかめた。また子ども扱いして、とでも言いたいんだろう。何か言われる前に俺は先手を打った。「ちげえよ」
「…まだ何も言ってないんだぞ」
「もらったんだ。買ってきた訳じゃない」
「……まだ何も言ってないんだぞ」

同じことを二回繰り返して──一度目よりも二度目の方がだいぶ声が小さかった──、弟は手に持った駄菓子をじっと見ている。子どもの頃、それからこいつが普通に外に出られた頃、旅行先で親に買ってもらったことがある。何十本と入っている「全種類セット」だった。小さな駄菓子のはずなのにまとめるとずいぶん大仰な大きさになって弟はそれを嬉しそうに抱えていたものだった。一日一本と決めていたように思うが、途中であらかためぼしい味を食べ尽くしてしまうと飽きてしまった。納豆味なんかはずっとそのまま袋に残っていたんだった気がする。
「昔好きだっただろ」
弟は子ども扱いするな、とでも言いたげな顔でそれを持ったままでいたが、そのうち袋を破って食べ始めた。なにせ大量にある。子どもの頃買ってもらったほどの大袋じゃないが、それでも数が多いことは間違いなかった。スーツ姿で大きな透明の袋に詰まったそれを持って帰ってきた俺のことを少しは思いやって欲しい。…などと思うが、弟にそんなことを言ってもわかりっこないのだった。さっきまでそんなものは欲しくない、という顔をしていたくせに、すでに二本目に入っている。

作品名:うまいぼうを食べるアル 作家名:tksgi