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うまいぼうを食べるアル

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「うまいか」
「別に」
そう言いながら食べきって、三本目。全部違う味でよかったな、と思うくらい無心に食べている。ソファの定位置、右の角だ。抱え込んだクッションが妙に子どもっぽく見えて、少しだけかわいらしい。
「アル」
俺が呼ぶと、弟はぱっと顔を上げた。猫が呼び止められたような仕草。そう思って俺はちょっとだけ笑ってしまった。「口についてる」
親指で自分の顔の口元を撫でるようにすると、弟は正しくその意味を理解して俺がやってみせたのとは逆側、つまり食べかすがついている口元をぬぐった。──着ていたスウェットの袖口でだ。おまえ、誰が洗濯すると思ってる。俺はそんな風に思ったのに、言ったのは別のことだった。
「おまえ、もの食ってる時が一番エロいな」
弟はそれを聞いてしばらく沈黙したあと、顔を逸らして「へんたいだな」とだけ言った。
──そのわりに少しだけ嬉しそうに見えたのは、多分俺の見間違いではあるまい。
作品名:うまいぼうを食べるアル 作家名:tksgi