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動物の王国

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山と森と数ある隣国に囲まれた、緑豊かな小さな王国アメストリス。軍事力が皆無な王国でありながら未だ一度たりとも攻め入られず、独立した国を保ち続けている。
どんなに近隣諸国が攻め入ろうともできない、【ある】理由がこの国にはあったのだ。それは、この国だけが持っている【秘密】。

これは、そんな不思議不思議な王国のお話し。

動物の王国


さて、この王国の王様といえば。
「おはようございます、ホーエンハイム陛下」
「あぁ、おはよう。今朝もいい天気だね」
「はい、誠に」
「ふあぁ~」
家臣の前であるのも関わらず(ちなみに朝の会議中であったりする)、思いっきり背伸びをして欠伸をしてしまう始末。なんとも長閑な王国の一日の始まりだ。

「ところで陛下。もうすぐ第1王子エドワード様の成人の儀でございますが…」
「ふむ。あの子は一体何に変化するのか楽しみでね」
「はい。きっと観る者を魅了すること間違いないでしょう」
「それはそうでしょう! なんといっても、陛下譲りの素晴らしい金の髪に金の瞳でいらっしゃるのですからvv」
「我々、いえ国民全ての憧れの君です。エドワード様はvv」

国事を話し合う会議のはずが、気がつけばエドワードへの賛辞に終始している。もうほとんどアイドル状態。
でも、それも仕方がないこと。
この国の第1王子、エドワード・エルリックは父王ホーエンハイム譲りの稀有な黄金の髪と瞳の持ち主であるばかりでなく、髪は柔らかく腰まで流れた三つ編みが揺れ、大きな瞳に肌はミルク色で。性格は明朗活発でしかもっ! とても愛くるしい(これ最重要)女の子顔負けの14歳の男の子であったのだから。

そう、14歳。あと3日後に15歳の誕生日を迎える。
この国の古くからの慣わし、15歳での成人の儀。
これは一般に云われる成人式とは違い、ある身体的特徴の表れを祝うもので。
それのおかげで、この王国は一度たりとも戦争を経験せずにすんでいるのである。

アメストリス王国は周りを山と森に囲まれ、その後方に近隣諸国がひしめき合っていた。
まるで、それらから結界を巡らせるような大自然。山と森の恵み、古代よりこの国は大地と緑の精霊によって守られている。
その恩恵が全てのアメストリス人に現れるのが、15歳の誕生日。

15歳を迎えたアメストリス人は、精霊たちのお祝いにより動物への変化が可能になるのだ。
それは皆一様ではなく各々の個性に合わせて変化する。鳥であったり猫であったり犬だったり。
ネズミやヘビ等、変化した自分の姿に大喜びの者もいればがっくりとうな垂れる者もいて、それこそ多種多様。何に変化できるかは自分でも15歳にならないと分からない。

そして、その姿でもって諜報活動に励むのだ。

全国民あげての諜報活動はすざましく、近隣諸国の王侯貴族・政府高官のプライバシーなどあってないのも同然。
「何故そんなことまで知っているのだあの国は!?」
なんて、その情報でもって近隣諸国を青ざめさせるのはホーエンハイムの十八番だ。それは歴代の王も同じで。
よって、アメストリス王国はいつの世でも、長閑で平和な時を過ごしている。


ホーエンハイム王は金色の虎。
王妃であるトリシャは純白の白鳥だ。

そして、エドワードは?
国中の期待が3日後に注がれていた。



「ロイぃ~!」
「やあ、エドワード。またお城を抜け出してきたんだね」

頬を赤くしながら息せき切って走ってくる少年は、この国の第1王子エドワードで。そんな彼を抱きしめて受け止めたのは、14歳年上の、彼のまた従兄弟にあたるロイ・マスタング。
彼、ロイ・マスタングは眉目秀麗にして文武両道。まさしく理想が服を着て歩いており、その黒曜石の瞳で見つめられ、甘いテノールの声に囁かれて落ちない女性はいない。
毎日色とりどりに着飾ったお嬢様やマダムとデートを繰り返す。
そして、あろうことか、近隣諸国からの女性達からも熱烈な恋文が届き、何とかアメストリスの尻尾を掴みたいお偉い様方からも、「ぜひ、婿に!」などと申し込まれる。
が、ロイにとっては、まったくもって迷惑な話であった。

だって、デートはあくまで趣味。彼にはちゃんとした本命がいるのだ。

その本命が今、この腕の中にいるエドワードだ。

「あれほど勝手に外出してはいけないと、いつも言っているだろ?」
「だって、ロイに会いたかったんだもん」

見上げてくるその表情がなんとも可愛らしい。
「嬉しいことを言ってくれるね」
金色の旋毛にくちづけをする。と、胸の位置から聞こえてくるのは、ドスのきいた声。
「……女の匂いはしねぇな」
「エ、エドワード!?」
「またデートしてたら、どうしてやろうかなv もう刺すしかねぇなvv なんて思ってたんだ♪」
小さな恋人は、にっこり笑いながら、さらりと恐ろしいセリフをロイに言ってくれた。

「……まったく、君は物騒だね。私が君しか眼中にないのは知っているだろ? でもまあ、君も成人の儀を迎えるしね。その時に正式に求婚させてもらうよ」
「えっ!? 本当ロイ!」
「もちろん。そして趣味のデートももうしない。どうかな?」
「嘘ついたら針千本だぞ」
「では、この剣にかけて―――」

ロイは腰に挿していた剣を鞘から抜き、エドワードへと跪く。
二人だけの神聖な誓いが、今、静かな湖畔で行われた。


「エドワード様は何になられるのかな?」
「お父上様が虎だからチーターとか!?」
「いやいや、愛らしい猫かもっ!」
「どれにしても、黄金に輝いていらっしゃるに違いない!」

今日は、この国の第1王子エドワードの成人の儀。国中が期待で溢れていた。



エドワードは、成人の儀が待ち遠しくて仕方がなかった。
15歳になれば、精霊の祝福により変化ができるようになる。これで一人前と認められるのだ。
14歳年上の、ずっと大人の恋人ロイ。
彼に似合う恋人でありたい。そうエドワードは願いずっと思い続けていた。

「俺、一体何に変化できるのかなぁ~」

やっぱり、親父みたいな虎、かな?
普段はボンクラだけど、黄金に輝く虎は威風堂々として威厳に満ち溢れ、息子の目から見てもとてもカッコ良かったりするのだ。
でもでもっ、できるならロイとお揃いがいいなぁvv

ちなみにロイ・マスタングの変化後は黒豹だ。
しなやかで艶やかなその姿に、獣でありながら女性達の眼差しは熱い。
人型だろうが獣形であろうが、常に男の魅力満載、雄のフェロモン全開の恋人に、エドワードは気が気でないのだ。

だからっ!

だからっ、俺が金色の豹になる!
そしたら俺たちお似合いの一対じゃんvv でもってロイと一緒に諜報活動するんだ!
胸元で両手を合わせ、うっとりと瞼を閉じる。

夢多きお年頃のエドワードであった。
でも現実は、時に残酷だったりするのである。


作品名:動物の王国 作家名:まいこ