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アイスクリームシンドローム

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「もしかしたら来てもらえないんじゃないかって思ってた」

青白い月の光に照らされる新羅は白衣とは違うがやはり白いタキシード姿で静雄に歩み寄る。不意に声をかけられ驚きのあまり固まったままでいるといつもと同じ変わらない人なつこい笑みで隣に並ぶ。思えば、この笑顔に何度救われ、また絶望したのだろう。
この目の奥に映っている笑顔を自分だけのモノにしたくてどれ程考えあぐねたのだろう、せっかくムードをっても茶化されて壊された方が多かったのを思い出す。どうにか焼き付けられないかと考えて考えては出来なかった。

いつになくマジメな声で誘い出して、そのまま連れ去ってしまえたならどれだけいいだろう。
抱え込んだ想いも伝えられるぐらい手の届きそうな距離で新羅をみていたかった。

それも今日で終わりにしよう。


「なぁ、新羅・・・俺よ、お前の事ずっと好きだったんだぜ。それこそ小学校のガキの頃からな。たぶん気づいてたと思うけどよ」
「うん、知ってた。知ってて私も静雄にセルティの事ばかり話していたんだ。そうして君が俺から離れないでいく事に安堵してたっていったら怒るかい?」
「怒らねぇよ、それを言ったら俺も同じだ・・・ずっとお前の親友の振りしてでも傍にいたかった」

打ち上げてみれば、案外あっさりとしたものだと思った。好きだ、そのたった三文字が言えなくてどれだけ苦しんだだろう。喉元まで出かかっていた言葉を許してお互いに楽になれた気がした。

「なぁ、最後にキスしてくれないか?」
「いいよ」

周りに人がいない事を確認してそっと歩み寄ると少しだけ背伸びしてキスをしてくれた。
ちゅっと軽く触れるだけのキスの感触は思っていたよりも柔らかくて優しかった。

「新羅、おめでとう」
「ありがとう静雄」

そうやって笑う新羅の顔がどの笑顔の中でも飛び切り幸せそうで泣きたくなったのは何故だろう。
出来たらその笑顔を俺が一番に隣でみていたかった、だけど出来ないんだな・・・俺じゃあ。

運命ってやつは待ってくれないものなんだな。
こうして、長い初恋は終わりを告げた。



あれから、コンビニに寄ってアイスクリームを食べた。
あの頃の自分が食べていたと同じアイスクリーム、
スーパーカップのバニラアイス。

涙と混じって少しだけ溶けたけれど、ベタベタに溶けたあの頃よりは少しマシな気がした。