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静帝/
人は所有する能力の約大半を、自らの身体に損害を不用意に与えないよう日頃からセーブされている。しかしどこにでも例外は存在していて、身近で有名な具体例を挙げるとすれば、それは己、平和島静雄。
また、例外は唯一ではないものでもあった。広くて狭い世には、腕力を敬遠される者が居れば、頭脳を畏怖される者が居たのだから。

仕事の休憩に立ち寄ったとある公園で、骨が砕ける音を耳にしたことがある己とは異なり、神経が焼き切れる感覚を知りつつ数字を躍らせる少年が座るベンチに腰掛けた。瞼を擦りたくなるような陽気だなとか、当たり障りのない会話を交わす。
「お互い生きにくいな」
「静雄さん、そんな思考こそが生きにくいと感じる主な原因らしいですよ」
「そうか、そうだな竜ケ峰」

穏やかな微笑みを含められたごく自然な返答に、微笑み返してくれるというだけで人であることを認めていられる気がするので、己は羨ましい処に恋をしたのかとは問われたくないのだろう。