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短いのまとめ

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臨帝/
どうして今の今まで信じていたのか。確証もない、拠り所も見当たらず、不確かさは実例がそこかしこに点々とある。大幅な遅刻をしてきた先触れはペケを付け、蓋がない不安に初めまして、信頼がご臨終へのお悔みを、転がり込んだ嘆息は重用して。
…一度でも思ったら。繰り返し塗り潰せば思考は姿勢を変化させてしまう。
発言者である竜ケ峰帝人という己の恋人は、どうしてもだめなのだという。そう、生物全般、とりわけ人間が。軋む呼吸音、生ぬるい体温、容易に動く心、などなど。それらが生理的に苦手なのだという。
「帝人くん自身も人間だよね」
「はい、なので尋ねられたらそれを切っ掛けにして潔くなろうと思ってました。では臨也さんさようなら」
飛び降りとかお手軽ですかね、とでも舌先で飄々と遊ばせてしまいそうな雰囲気である。明け透けな、それでいて込み入りが過疎した物言い。一応引き留める用意はある。なので言い残し、去ろうとする細々とした肩に手を置く。
「ね、恋人の俺がしんじゃやだって頼んでも?」
「…仕方ないですね」
訝しさを解除しなくとも、只今得たばかりの安堵に満ちたその声音といったら。抜け殻を大事そうに重ね着するような様といったら。定期的に自分を騙すのも楽ではない様子で、素直に安堵を咀嚼して欲しいものだ。
「本音でないとしたら、」「正真正銘、心から本音と言えるよ」

これだけは、この愛おしく想う気持ちだけは、絶対に嘘じゃない。嘘になどするものか。
作品名:短いのまとめ 作家名:じゃく