短いのまとめ
花粉症幽さんの続きで幽帝/
普段はひくりとも動かない表情筋が動いて人間味豊かな春の頃になると、もうはや恒例となった行間のようにごく短い躊躇いを幽さんは挟む。
やはり何度見つめても、厚い無表情の下で戦々恐々としている様がこうまでになると、流石に察しが鈍いとの定評のある自分にもおのずとわかる。
敵は普段目に写らず、だが眼鏡をして暫く経ち外すとやつらは点々と付着しているのだから侮れないのだと、そう静かに力説された。目を瞬かせる回数が目に見えて増えている。些か鼻声ではあるが艶のある声音は美しいままであったがそれでも特殊。
愛しの恋人は先程まで外出していたイコール、天敵を知らぬ内にその身に纏っているのであって、常のおかえりの抱擁をしたい、けれども………そんな葛藤を黙しつつしているのだと察したけれども、両の腕を広げて自ら誘った。
だって、どうしてもいつだって、愛しの恋人と触れ合いたいのである。
率直に伝えてみたならば、俺もだよと返してくれた恋人は此方が抱き締められていると感じられるくらいに、そっと力を込めてくれた。兎さんのように赤い目をして。
普段はひくりとも動かない表情筋が動いて人間味豊かな春の頃になると、もうはや恒例となった行間のようにごく短い躊躇いを幽さんは挟む。
やはり何度見つめても、厚い無表情の下で戦々恐々としている様がこうまでになると、流石に察しが鈍いとの定評のある自分にもおのずとわかる。
敵は普段目に写らず、だが眼鏡をして暫く経ち外すとやつらは点々と付着しているのだから侮れないのだと、そう静かに力説された。目を瞬かせる回数が目に見えて増えている。些か鼻声ではあるが艶のある声音は美しいままであったがそれでも特殊。
愛しの恋人は先程まで外出していたイコール、天敵を知らぬ内にその身に纏っているのであって、常のおかえりの抱擁をしたい、けれども………そんな葛藤を黙しつつしているのだと察したけれども、両の腕を広げて自ら誘った。
だって、どうしてもいつだって、愛しの恋人と触れ合いたいのである。
率直に伝えてみたならば、俺もだよと返してくれた恋人は此方が抱き締められていると感じられるくらいに、そっと力を込めてくれた。兎さんのように赤い目をして。