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短いのまとめ

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臨帝/
人混みは大変苦手である。百面相をする羽目になるのだからして。というよか、そもそもは自分以外はきらい、とまではいかないが苦手である。
剣呑な眼差しをなるたけ意図して作り、臨也さんという恋人と言わないでもないようなあるような、いや、兎にも角にも親しい関係を築いているひとへ、いつもの自分のスタンスの確認をした。
「そんなに自己が揺らぐのがお嫌い?」
冗談にしても人をからかい過ぎているお面を被っているがごとく、酷く愉快そうな顔して心を逆撫でされた。わざとであろう。
「ようやっと輪郭が出来てきた、作っている最中ですからね」こくりと肯定をしてみせ、それじゃ付き合ってるお相手の俺も?とこれまた顰蹙を買い付けているかにしか見えない微笑みを整った造作に乗せている。なんて面倒なひとなんだろう。
「ご不満ですか?こんなにも一生懸命、自分以外であるあなたを愛そうとしていますのに」
通行許可証を発行した覚えもないのに、心房や心室を行き来しては呼吸を乱されているのが証拠であるのに。くるおしくてどうにかなってしまいそうなのに。ああいやだ。これに関して疑う問いは苦手などではない、きらいだ。
「いやいや、不満はないけれど。だって帝人くんは同じ分だけの愛を返してくれるんだものね」
単純に距離または接触されている自分以外の喜怒哀楽が自分に紛れ込む、この垣根の低さをなんとかしたいのだが。やはり恋人は取り合ってはくれないようである。くたびれる。

そうしてから漸く、だから家デートがすきなんですという発端の結論を口にすることが出来たのであった。
作品名:短いのまとめ 作家名:じゃく