短いのまとめ
キス静帝/
喉が引きつれる程に渇いて仕方なく、声さえも貪るように求める。
躊躇いなく、寧ろ焦れた末であるかに感じる重なった唇は熱されている。あまり温度差を感じないのは、自分もまた同じに茹っているからなのだろう。
口内で舌と舌が絡む、吸い付く、撫でるように舐めたと思えば今度は歯列をなぞられては疼く、言いようのない埋もれていた感覚が辛いので縋るも楽にはなれない。
羞恥を煽る水音に耳朶を犯されて、正常な思考を保てない。理性を手放すのを望まれ、その望み通りへと嵌められた心地がする。当人の自覚は少しもない。
己の唾液を嚥下されていく様を、生理的な涙で濡れた瞳で視認する。切れ切れの呼吸の音と伴に、空間に響いているのはそのくらいのものだけでいて、若しくは勘違いしていて、それ以外を聴く余裕がないだけなのかもしれない。
零れたものさえ残さずに辿る飢えた様子が常の穏やかなものとは違った、そのくるおしいさこそいとおしい。
痺れてきた唇の輪郭を確かめる為に、既に色が鮮やかになっているだろうけど、ごく軽く舌先で湿らせると、受け止めている視線が強くなった。
恐らく今夜もまた、足腰はくだけたままに日付を越えることになる。
喉が引きつれる程に渇いて仕方なく、声さえも貪るように求める。
躊躇いなく、寧ろ焦れた末であるかに感じる重なった唇は熱されている。あまり温度差を感じないのは、自分もまた同じに茹っているからなのだろう。
口内で舌と舌が絡む、吸い付く、撫でるように舐めたと思えば今度は歯列をなぞられては疼く、言いようのない埋もれていた感覚が辛いので縋るも楽にはなれない。
羞恥を煽る水音に耳朶を犯されて、正常な思考を保てない。理性を手放すのを望まれ、その望み通りへと嵌められた心地がする。当人の自覚は少しもない。
己の唾液を嚥下されていく様を、生理的な涙で濡れた瞳で視認する。切れ切れの呼吸の音と伴に、空間に響いているのはそのくらいのものだけでいて、若しくは勘違いしていて、それ以外を聴く余裕がないだけなのかもしれない。
零れたものさえ残さずに辿る飢えた様子が常の穏やかなものとは違った、そのくるおしいさこそいとおしい。
痺れてきた唇の輪郭を確かめる為に、既に色が鮮やかになっているだろうけど、ごく軽く舌先で湿らせると、受け止めている視線が強くなった。
恐らく今夜もまた、足腰はくだけたままに日付を越えることになる。