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竜ヶ峰帝人の困惑

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「なぁ帝人、聞いてもいいか?」
「何?」

学校へと通う道すがら、正臣は鋭い視線を地面の方向へと向けていた。
正確には地面ではない。
帝人の指である。

「その、さ・・その指輪」
「あぁこれ?」

事もなげに左手を上げる。
その中指にはしっかりと指輪がはめられていて、しかもそのデザインを正臣が見たことがあった。
ほかならぬ帝人の恋人、折原臨也の付けていた指輪と同じデザインではないか。

「臨也さんのと同じやつじゃねぇ・・?」
「同じっていうか、そのもの?」
「はぁっ!?」

大げさな身振りで、なんでまた?という顔で驚く正臣に、ゆるい思い出し笑いをしながら

「今日婚約指輪買ってくるから、それまでこれ付けててって。本当は薬指にって言われたんだけど大きくて中指がぴったりだったんだよね」
「こ、こんやく・・・?」
「うーん・・・」

でも宝石とか付いたらやだなぁと呟く幼馴染の姿に、正臣はくらくらしてきた頭を抱える。
学校へと進んでいたはずの足は止まりっぱなしだ。

「え、なに、お前、えっ?そういうキャラだっけ?いわゆるデレ期?ラブモード発動中?」
「何言ってんの。僕ちょっとだけあの人の使い方がわかったんだよね」

使い方、という言葉に、頭を抱えていた手を外す。
帝人は至極真面目な表情で

「こっちが少しだけ素直になったらいいんだよね。ケーキも欲しいやつだけ指定して、報告も聞かれる前に手を握れば話さなくてすみそうな気がするし」
「ケーキ?報告?」
「マンション前で待ってるのはまぁ仕方ないとして、与えなきゃ不安になるっていうんなら、その不安をなんとかすればいいんだし」
「・・・あれ、もしかしてノロケ?ノロケ始まっちゃってる?」

今日はまだ家を出てから一度もメールが来ていない。
今までなら登校するまでに最低でも5通は来ていた。
それも面倒で返信しないで放り出していたけれど、どうやら臨也は帝人が1度もメールを送ってこなかったことが怖かったらしい。

(だから返信が来るまでメールし続けるっていう考え方はどうかと思うけど・・・)

でもそれが怖い寂しいというなら、やってやろうかと思うのだ。
だって自分は確かに臨也の恋人なのだから。

(付き合ってる相手に不安な思いさせるなんて、僕もまだまだかなぁ・・・っていうかあの人も、もう少しわかりやすい人だったらよかったのに)

それはそれで普通の人っぽくて帝人は嫌になるのだろうが、それは意識から追いやっている。
なので正臣に会う直前、一度臨也にメールを送ってみたのだ。
その返信はまだ来ていないけれど、きっと今頃自宅の床をごろごろ転がっているに違いない。
そう考えると帝人はくすくす笑ってしまう。
正臣は楽しそうなその様子を見て、仕方ないと苦笑を浮かべた。
ダメ男好きなのかな・・と相談された時はどうしようかと思ったけれど、こうやって大切な幼馴染が笑ってくれるなら、幸せでいてくれるならそれでいいと思う。

「よっしゃ!じゃあ急ごうぜー!学校遅刻しちまう!」
「あ、ホントだ!うん、走ろう正臣!」

バシンと帝人の背中を叩いて正臣が走り出す。
その後を笑顔を浮かべて追いかけるその2人の姿は、どこにでもある幸せな日々の1ページだった。



―行ってきます臨也さん。指輪、楽しみにしてますね     大好き―
作品名:竜ヶ峰帝人の困惑 作家名:ジグ