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風邪@イヴァン訪問編

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「いやあ、気遣われるのも偶には良いと思っていたのさ」
 感謝すると、イヴァンはわかりやすく照れる。
「はん、まあいいぜ。俺はジュリオとはちげぇからな、とびっきりの差し入れを持ってきたぜ、泣いて感謝しろ?」
 もっと実用的なものだぜ、とイヴァンは思わせぶりに、封筒の中に手を突っ込んだ。
「見て驚け!とっておきだぜ」
 だが、取り出されたものに、ベルナルドは少し収まったはずの頭痛がぶり返すのを感じた。イヴァンが取り出し、広げて見せてきたのは、低俗なポルノ雑誌だったからだ。
 豊満な美女があられもない姿で足を広げている。
 思わずベルナルドは額を手で押さえた。
「なんだよ、もっと驚けよ」
「いや、イヴァン……」
「てめぇが退屈してるんじゃねえかと思って持ってきてやったんじゃねえか。寝っころがってるだけじゃ、溜まるだろ。それともなんだ、でかい胸は好みじゃねえのか?」
 あーあー、なるほどな、と勝手に人の趣味を脳内で歪んだ方向へ捻じ曲げていくイヴァンを止めようとベルナルドは慌てて感謝の言葉を選んだ。
「わかった、わかったから。大事に使わせてもらうよ、ありがとう」
「へへっ。なんだよ素直に言えよなっ。他の奴らには秘密にしといてやるよ。俺の寛大さに感謝しろ」
 ベルナルドは、良い気分にさせることでなんとかイヴァンを部屋から追い払うことに成功した。だが、手元にはポルノ雑誌が残った。
「やれやれ、これをどうするかな」
 なんだか熱が上がった気がする。せめてもと雑誌を裏返しにサイドテーブルに乗せると、短時間でどっと疲れたベルナルドは、ベッドの中へともぐりこんだ。
「……とにかく、眠ろう」
 まだ日は高かったが、構わずベルナルドは体を丸めた。