二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

キス

INDEX|1ページ/2ページ|

次のページ
 
しこたまに酔ったカジャを部屋に運ぶのは、ルシファードの日課になっていた。もちろん酔ったカジャが可愛いというのもある。小柄な体は抱きかかえる苦も無く、腕の中にすっぽりと納まった。
 もちろん、飲ませたのはルシファードだ。
 ついつい調子に乗って毎回飲ませすぎてしまう。だがルシファードは一時の反省を次の日には持ち込むことは無いので、毎度同じことが繰り返された。
「ん……、っ」
「寝とけよ。飲ませすぎちまったな」
「オスカー、シュタイン…?」
「キーは?」
 カジャは一度瞳を開いたが、すぐに辛そうに眉を顰めた。
 問いかけておきながら、ルシファードはカジャの部屋のカードキーの在処を知っている。胸元に指をするりと忍び込ませれば、すぐに目的のものが触れる。
 ルシファードは部屋に入るとすぐに整えられたベッドへカジャの幼い体を横たえた。このまま襲うのも興味深いが、今夜は少し飲ませすぎた自覚がある。
「カジャ?」
「水……、を」
「ああ」
 白くふわふわな髪を頭がぐらつかない程度に撫で、ルシファードはキッチンに向かった。グラスに冷水を注いで戻ると、カジャは酔った眼差しを天井に向けていた。頬には高揚が差し、眠りに落ちることを拒んでいるようだ。
「カジャ」
 普段とは違う呼び名に、カジャの瞳がルシファードを捕らえた。
「大丈夫か?」
「……ああ」
 小さな肉の薄い背を抱え起こしグラスを差し出すと、カジャは大人しく水を含んだ。アルコールに犯された体が水分を求めているのか、カジャはルシファードの腕の中で、水を飲み干していった。
「ルシファード」
「ん?なんだ?」
 カジャの手から零れ落ちるグラスを受け取り、ルシファードは名を呼ばれるまま白い肌に唇を近づけた。
「……ん」
 ざわ、とカジャの肌に電流が走る。魅力的な容をした唇が首筋に触れ、耳朶へ這い上がる。
「……っ、……っ」
 拒まないカジャを見て、ルシファードは優しくベッドへ体を寝そべらせた。カジャの胸は熱い鼓動に揺れている。胸に触れ、ルシファードはスクリーングラスを外した。
 現れた希少な瞳の色に、カジャの視線が集まる。
「ルシファード……」
 水分で濡れた唇はまだ幼く見える。震えるように動く唇に、ルシファードは見入った。
「しない、のか?」
「俺をケダモノみたいに言うんじゃねえよ」
作品名:キス 作家名:七月かなめ