キス
カジャは静かに笑って、ルシファードの黒髪を引寄せた。
「そんな、私にキスをしたいという目をしてよくいうものだ」
カジャは身を捩じらせ、普段らしからぬ態度でルシファードを誘った。
「したいのだろう?オスカーシュタイン大尉」
「どこでそんなセリフ覚えてきたんですか、まさかパープル……」
「さてな」
「……悪い子だ」
恐らく、明日の朝起きてカジャは今夜自分が口にしたセリフを覚えていないだろうと、ルシファードは予感していた。素面のカジャが、誘うセリフなど言えるはずもない。言われては困る、とルシファードは誘う唇がこれ以上危険な言葉を発しないように塞ぎ、体へ覆いかぶさった。