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神田襲撃事件 前編

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「神田くんには襲われた時の記憶は残ってないんですよね・・?」

ミランダはおそるおそる質問した。

「そうみたいなんだ。でも、僕が推測するに犯人が教団内に居ることは間違いないと思う」

ふぅ、とコムイは続ける。

「時間的にも、神田君は任務明けすぐに襲われたことが分かってる。そして、何らかの方法であのような姿になってしまったという事だと思うんだ」

「その何らかの方法とは?」

「たぶん薬か何かだと思うんだ」

「じゃあ、犯人は科学班のヤツさ!?」

ラビの目は少しの怒りを灯していた。
神田はこの様子を見ていた。
ラビの叫びに元帥が答える。

「そう決めつけられたわけでも無いんだよ」

「なんでさ!?そんな薬作れんの科学班ぐらいしかいないさっ」

確かにそうかもしれないんだけどね、と続ける。

「まぁ、おそらく薬を作ったのは科学班だろう。考えられるのは、一つ、科学班の誰かが薬を使って何らかの方法で薬を飲ませた。二つ、科学班が作った薬を他の者が飲ませた。三つ、科学班が過去にそのような薬を作っていた事を知っていた誰かがそれを取り出し飲ませた、というところじゃないかな、室長」

ええ、とコムイは返事する。

「要するに、科学班のせいじゃねぇか」

と神田は怒りを顕わにする。

「でも、科学班全員がそんなヤツじゃねえって事は分かってやってくれよな」

と、司令室の入り口からリーバーがやってきた。

「リーバーさん、今回の事・・?」

「さっきリナリーから聞いたんだ、また大変な事になってるな」

アレンの質問に答え、リナリーと目を合わせる。
そして神田に近づいて大変だな、と神田の頭を撫でた。

「「「!!」」」

周りにいた全員が凍り付いた。
蹴られる、と。

「・・・リーバー。お前、男にする薬とか作れねえのか?」

「室長じゃねえんだから無理だって」

と苦笑いしながらコムイに書類を渡して司令室を後にした。
神田は今は見えないリーバーの姿を目で追っていた。
自分の気持ちの変化を隠せずにいた。
暖かいけど、寂しい気持ち。会いたい、と思った。
ラビはそんな神田の変化を敏感に感じ取り、まさかと目を疑う。

「ねぇ、コムイさん」

「何だい、アレンくん」

アレンは何かを悟ったような、すべてを理解したような目でコムイを見た。
もうこれからは止めて下さいね、と言わんばかりに。

「今のリーバーさんの言ってた事から推測すると、以前にそんな薬作ったことあるんですか?」
作品名:神田襲撃事件 前編 作家名:大奈 朱鳥