誘い水に遭う
何があったのかは分からないけどね、イギリス。お前が何を望んでいるのかはなんとなく分かった。
「・・・本当、お前は酷い奴だね」
フランスは腕の中に匿っているイギリスの背をぽんぽん叩いた。
涙が数滴、膝に落ちてきた。
「アメリカの為に体張って傷ついたお前を慰めろっていうの?俺がなんて思うか分かってやってるでしょ」
フランスが小さく呟いたのが聞こえてか否か、イギリスはそろそろと手を上げ、肩に乗っているフランスの腕を手繰り寄せた。
「何?」
「手ェ、貸せ」
フランスが手を降ろすと、即座に絡められる指。イギリスが力を込めて握ってきたので、フランスは反射的にそれに応え、強く握り返した。
あぁ、もう。最低だね、お前は。
そう思いながら、痣の浮かんだイギリスの首筋に軽いキスを落とす。
「はいはい。・・・うん、大丈夫」
~Fin.~