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バッタリと、出会った。





　　　ワインを一杯、貴方と





「それにしても久しぶりね〜」
「今までなんだかんだで忙しかったからな」


ダングレストの外れで再会して、一杯どうかと誘われた。
久々にあった男は相変わらずあの派手な羽織を翻している。
あまり得意ではないけれど、断る理由もないし付き合うことにした。

入った酒場はしんみりとしていたが、客はちらほらと入っていた。
落ち着いている雰囲気は嫌いじゃない。


「結局、騎士団には戻ってこないのね」
「性に合わねぇのは染みついてるさ」
「一度手にした自由は大きかったってこと？」


カラン、と傾けたグラスに氷が当たる。
何度かそれを繰り返して、溜息と共に答えた。


「それもある。凛々の明星もこれからだ。責任は最後まで持つさ」
「…そうね。青年は、そういう子だもんね」
「おいおい、成人に子どもはねーだろ」
「おっさんからみたら赤ん坊と同じよ」


流石に酷い言われようだ。
頬を赤く染めているレイヴンを睨むと、ケラケラ笑い返された。


「おっさんが２１歳の時なんて、青年みたく重いモノなんか背負ってなかった」
「騎士団にいたんだろ？十分じゃねぇか」
「そうね。でも、その手に抱えてるモノはユーリのほうが多くて、重くて、大きいでしょ」


それは例えば命だったり、罪だったり、覚悟だったり。
今までのことをしっているおっさんからすれば苦笑ものなのだろう。
だけどオレにしてみれば例え重苦しくても背負うと決めたのだから構わなかった。


「逃げ出さない青年は、強いよ」
「元隊長サマの言葉は重みがあるな」


当てつけのつもりでそう言ってワインを流し込む。
レイヴンはピクリと眉をあげて、力なく笑った。
自分でも自覚してるのだろう。


「だからこそ、俺様も今の騎士団には青年が必要だとも、思う訳ね」
「褒め言葉として受け取っておく」
「フレンに限って、って思ってるだろうけど…あの人も昔は似たようなモンだったし」
「……その時は、オレが斬るさ」


冗談混じりの本気だった。
それがオレ達なりの絆で、互いの覚悟だ。
オレが道を間違えれば、あいつがオレを斬るのだろう。


「怖や怖や。青年は物騒なんだもの」
「おっさんが気楽過ぎるんだよ」
「ふふっ。褒め言葉として受け取っておくわ」